石井隆一

石井隆一氏は、1945年富山県富山市に生まれました。東京大学法学部卒業後、1969年に自治省（現・総務省）に入省。静岡県総務部長や財政局財政課長などを経て、2002年には消防庁長官に就任しました。2004年に退官後は、市町村職員中央研修所学長を務め、同年11月に行われた富山県知事選挙に無所属で出馬、初当選を果たします。

その後、2008年、2012年、2016年の選挙でも再選され、4期16年にわたり富山県知事を務めました。知事在任中は、県政の様々な分野で手腕を発揮しました。まず、就任当初、400億円あった県の財政赤字を解消するための財政改革に着手。大胆な施策を実行し、財政健全化に成功しました。

経済活性化にも力を入れており、若者や女性、熟年層を対象とした起業家育成支援プログラム「とやま起業未来塾」を開設。地域経済の活性化を目指しました。また、環境問題にも取り組み、レジ袋の無料配布廃止を県内全域で実施。これは全国初の試みであり、全国的なレジ袋有料化のモデルケースとなりました。「県森づくり条例」や「県安全なまちづくり条例」の制定など、環境保全と安全な社会づくりにも貢献しました。

さらに、石井氏は県内外との連携を強化し、北陸新幹線の富山県延伸実現に大きく貢献しました。新幹線整備における県負担額を600億円以上削減するなど、県民にとって大きなメリットをもたらしました。子育て支援にも注力し、「とやまっ子子育て応援券」を導入するなど、子育て家庭への経済的・精神的な負担軽減に努めました。

また、観光産業の振興にも積極的に取り組みました。「とやま観光未来塾」を開設し、観光ガイド育成や魅力的な観光地域づくり、インバウンドツーリズムの促進などに取り組みました。

石井氏の知事時代は、G7富山環境大臣会合の開催など国際的な舞台でも活躍しました。また、富山米の新品種「富富富（ふふふ）」の開発や販売促進にも携わりました。移住促進策も奏功し、2018年度の県外からの移住者数は過去最多を記録しました。

ものづくり産業の振興にも力を入れており、産学官連携による共同研究開発を推進し、新技術や新製品の開発を促進しました。特に医薬・バイオ分野では、「くすりの富山」の伝統を活かし、ライフサイエンス分野の国際的な研究開発拠点づくりを目指しました。スイス・バーゼル州との交流協定締結など、国際的な連携も強化しています。

2020年10月に行われた知事選挙では、惜しくも敗れました。2024年には旭日大綬章を受章しています。地方分権、防災・危機管理、分権型社会の創造などに関する著書もあります。これらの活動を通して、石井隆一氏は、富山県の発展に大きく貢献した政治家と言えるでしょう。

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