石内展行

石内 展行（いしうち のぶゆき）氏は、1920年12月5日に生を受け、2017年にその生涯を閉じた日本の造園家です。

氏の出身地については、二つの情報源が異なります。ある記録では兵庫県生まれとされていますが、『都政人名鑑 1962年版』には山口県防府市出身と記されています。造園家としての氏のキャリアは、まず学歴によって築かれました。

氏が最初に学んだのは、東京府立園芸学校です。この学校は、現在の東京都立園芸高等学校にあたります。その後、日本大学高等工学校へと進みました。日本大学高等工学校は、現在の日本大学理工学部や大学院理工学研究科の前身となる教育機関です。これらの教育機関で造園に関する専門知識と技術を修得しました。

学業を修了した後、石内氏は1938年に東京市に奉職しました。ここから、氏の公的なキャリアが始まり、長年にわたり東京都の造園行政や関連分野で重要な役割を担うことになります。

東京都の職員として、氏はまず東京都自然公園課長を務めました。この役職では、都内の自然公園の計画、整備、管理に深く関わり、都市における貴重な緑地空間の保全・育成に尽力しました。広大な自然公園を管理することは、造園家としての知識に加え、組織運営や行政手腕が求められる仕事です。

自然公園課長を務めた後、氏は動物園の運営という、また異なる分野でもその手腕を発揮しました。東京都多摩動物公園の園長に就任し、この広大な敷地を持つ動物園の管理・運営を担いました。多摩動物公園は、動物の生息環境を再現する形式で知られており、その運営には専門的な知見が不可欠です。氏はこの役職を通じて、多くの都民に自然や動物との触れ合いの場を提供しました。

さらに、日本でも有数の歴史を持つ動物園、恩賜上野動物園の園長も務めました。上野動物園は都心に位置し、国内外から多くの来園者があるため、その運営は非常に重要かつ多岐にわたります。氏はこの重責を担い、上野動物園の発展と維持に貢献しました。

行政での公務を終えた後も、氏の造園分野への貢献は続きました。東京都造園緑化業協会の専務理事として活動し、民間の造園業者との連携を深め、業界全体の振興と発展に寄与しました。行政官としての経験と、民間団体での活動は、氏が造園緑化事業を多角的に捉えていたことを示しています。

長年にわたる氏の造園分野および関連領域での功績は、広く認められています。1993年には、その顕著な業績に対して第15回日本公園緑地協会北村賞が贈られました。この賞は、公園や緑地の整備・管理において特に功労のあった人物や団体に与えられる権威ある賞であり、氏の専門家としての評価の高さを示すものです。

石内氏はまた、著作も残しています。2003年には、板垣修悦氏との共著で『砧公園』を刊行しました。この書籍は、東京都公園協会が発行する「東京公園文庫」シリーズの第13巻として出版されています。氏が深く関わったであろう都立公園の一つである砧公園について、その歴史や魅力が記されていると考えられます。

石内展行氏は、行政、動物園運営、そして業界団体という多様な立場で、東京の都市環境の緑化と人々の憩いの場の充実に多大な貢献を果たした造園家です。その功績は、現在の東京の緑豊かな景観や親しまれている動物園の中に息づいています。

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