石取祭

石取祭について

石取祭（いしとりまつり）は、三重県桑名市の春日神社で毎年開催される祭りであり、重要無形民俗文化財として認定されています。さらに、その伝統的な祭りの形式は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。この祭りは、石を神社に奉納することが起源とされ、江戸時代初期からの長い歴史を持っています。

祭りの概要

石取祭は、毎年8月の第一日曜日に行われ、その前日から始まります。土曜日の午前0時には、参加する町内ごとに設けられた約40台の祭車 (山車) が春日神社から一斉に打ち鳴らされる音楽に合わせて練り歩きます。この独特な賑やかな光景から、「日本一やかましい祭り」「天下の奇祭」として知られています。参加する町内は、それぞれの祭車を準備し、特有の囃子音を奏でながら町を巡ります。

祭りの構成には、土曜日の朝に行われる「叩き出し」、土曜日の夜の「試楽」、日曜日の「本楽」といったイベントが含まれます。本楽での渡祭（とさい）では、指定された顺序で祭車が春日神社の前で石取囃子を披露します。この激しく騒がしい祭では、重要なルールがあり、一瞬でも先走ると翌年の参加を禁じられるなど、厳格に運営されています。

石取祭の歴史

石取祭の起源は、江戸時代初期の神事にさかのぼると言われています。当時、町屋川（員弁川）の石を神社に奉納するための祭礼として行われていました。その後、祭りは独立し、発展して現在の形になりました。

過去の数十年にわたり、祭りは様々な困難に直面しました。1960年には伊勢湾台風の影響で祭車の曳廻しが中止になり、2020年と2021年には新型コロナウイルスの影響で一部の神事のみが行われた時期もありました。しかし、祭りは地域の人々にとって深く根付いた文化と伝統を持つイベントです。

行事と日程

石取祭では、6月から始まる様々な行事が予定されています。たとえば、6月の第1日曜日には「御籤占式」が行われ、本楽の日の祭車の順番を決める抽選があります。また、7月には鉦鼓練習が行われ、各町内で練習が重ねられます。

それに続いて、祭りの数日前には、各町から笹を取りに行く「笹取り」や、夕刻に春日神社へ参拝する「お勝さん」が行われます。これらの行事を経て、元旦の午前0時には叩き出しが始まり、祭りが盛大にスタートします。

祭車の魅力

石取祭の最大の特徴は、その祭車です。各町内の祭車は、江戸時代から続く伝統的な3輪の御所車形式が主流で、12張の提灯や装飾的な彫刻が施されています。彫刻には、有名な彫刻師による作品もあり、芸術的かつ歴史的な価値が高く評価されています。

それぞれの祭車は、長い綱によって多くの人々に引かれ、練り歩きながら、祭りを彩ります。これらの祭車を見ることができるのは、石取祭の醍醐味の一つです。

文化的意義

石取祭は、桑名市だけでなく、周辺地域にも広がりを見せ、150台近い祭車が存在します。祭車の売買や貸与を通じて、愛知県や岐阜県などでも関連イベントが行われ、多くの人々に親しまれています。このように、石取祭は地域社会の絆や文化を深める重要な役割も果たしています。

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