石川県立七尾商業高等学校

石川県立七尾商業高等学校（いしかわけんりつななおしょうぎょうこうとうがっこう）は、かつて石川県七尾市矢田町に校舎を構えていた公立の商業系の高等学校です。地元では親しみを込めて「七商（ななしょう）」の通称で呼ばれていました。100年以上の歴史を持つ伝統校でしたが、石川県の高校再編整備計画により、2006年3月末をもって閉校しました。

概要

本校の起源は古く、1897年（明治30年）に七尾簡易商業学校として設立されたことにさかのぼります。これは石川県内で初めて設立された商業学校であり、全国的に見ても18番目に開校した学校として、日本の近代商業教育における黎明期から重要な役割を果たしました。閉校までの間、七尾地域における商業教育の中心として、多くの卒業生を社会に送り出しました。

沿革

七尾商業高等学校の歩みは、以下の通りです。

1897年（明治30年）: 七尾簡易商業学校として創立。石川県初の商業学校であり、全国でも早期の設立でした。
1905年（明治38年）: 七尾の町を襲った大火により、校舎が焼失するという困難に見舞われました。
1999年（平成11年）5月: 石川県の高校再編整備計画が発表され、石川県立七尾工業高等学校、石川県立七尾農業高等学校との統合が決定しました。
2004年（平成16年）4月1日: 統合により新設された石川県立七尾東雲高等学校が開校したことに伴い、生徒の募集を停止しました。
2006年（平成18年）3月31日: 残っていた生徒が卒業し、正式に閉校しました。商業教育の機能は、七尾東雲高等学校の総合経営学科に引き継がれることとなりました。

教育内容

閉校時には、以下の学科が設置されていました。

商業科
情報流通科

学校の教育目標としては、「個性を伸ばし、チャレンジ精神にあふれるたくましさ」と「他人を思いやる心や感動する心といった豊かな人間性」を育むこと、そして「社会人として強い連帯感を持ち、より豊かな地域社会づくりに貢献できる基礎」を培うことを掲げていました。教育方針としては、基礎・基本の確実な習得に努めると同時に、生徒一人ひとりの能力や適性、将来の進路に応じたきめ細やかな指導を行い、社会の変化に対応できる専門知識や技能を持つスペシャリストの育成を目指していました。また、家庭や地域との密接な連携を図り、自主的で自立した生活態度を養うことにも力を入れていました。

学校活動

生徒たちは学習活動だけでなく、多様な部活動や特別活動にも積極的に参加していました。主な部活動には以下のようなものがありました。

運動部: バスケットボール、ソフトテニス、卓球、弓道、陸上、バレーボール、ソフトボール、野球、バドミントン
文化部: 情報、国際、珠算、ワープロ、簿記、茶道、華道、吹奏楽、ボランティア、ダンス、生活
その他: 地域行事にも参加していた「翔舞連」（よさこい踊りチーム）などがありました。

校歌

七尾商業高等学校の校歌は、沢恭平氏が作詞、石本一雄氏が作曲を手掛けました。

著名な出身者

本校からは、各界で活躍する多くの人材を輩出しました。

原田徳子（元C.C.ガールズ）
舛田山（元大相撲力士、常盤山として年寄を襲名）
栃乃洋（元大相撲力士、竹縄として年寄を襲名）
西田昭二（衆議院議員）

閉校とその後の継承

100年以上の長きにわたり七尾地域の商業教育を支えてきた七尾商業高等学校は、石川県の高校再編計画の一環として、石川県立七尾工業高等学校、石川県立七尾農業高等学校との統合により、新たな石川県立七尾東雲高等学校へと発展的に引き継がれる形でその歴史を終えました。本校で培われた商業教育の精神と実績は、後継校である七尾東雲高等学校の総合経営学科において、ビジネスや情報会計といった系列に引き継がれ、現在も地域の未来を担う人材育成に活かされています。

石川県立七尾商業高等学校は、激動の時代を経て地域社会の発展に貢献し続けた、記憶に残る学び舎でした。

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