石川県立七尾農業高等学校

石川県立七尾農業高等学校（いしかわけんりつななおのうぎょうこうとうがっこう）は、かつて石川県七尾市下町に校舎を構えていた公立高等学校です。地域からは「七農（ななのう）」の愛称で親しまれていました。1940年（昭和15年）に前身となる学校が設立されて以来、約66年間にわたり農業教育を実践してきましたが、石川県の高校再編整備計画の一環として、2006年（平成18年）3月31日をもって閉校しました。旧校舎の敷地には、統合により新設された石川県立七尾東雲高等学校が設立されています。

沿革

本校の歴史は、1940年（昭和15年）に石川県立七尾農学校が設立されたことに始まります。第二次世界大戦後の学制改革に伴い、1948年（昭和23年）には石川県立七尾農業高等学校へと改称されました。しかし、翌1949年（昭和24年）には石川県立七尾高等学校へ統合されるという変遷をたどります。その後、農業教育の専門性確保のため、1955年（昭和30年）に七尾高等学校の農業課程が分離独立し、再び石川県立七尾農業高等学校として歩みを開始しました。この再独立以降、地域農業の発展に貢献する人材育成に力を注いできました。時代の変化の中で、1999年（平成11年）5月には石川県が発表した高校再編整備計画の対象校となり、石川県立七尾商業高等学校、石川県立七尾工業高等学校との統合が決定します。これに伴い、2004年（平成16年）4月1日には生徒募集を停止しました。そして、2006年（平成18年）3月4日に最後の卒業式と閉校式典が厳かに挙行され、その月末である3月31日をもって正式に閉校となりました。

教育内容

閉校直前の時期に設置されていた学科は、農業分野の専門性を深める以下の2学科でした。

生物資源科：植物栽培、土壌、農業経営など、幅広い生物資源に関する知識と技術を習得する学科でした。
林業緑地科：森林や樹木、緑地の管理・保全に加え、造園や緑化技術などを学ぶ学科でした。

本校の教育目標は、「勤労と責任を重んじ、自律・協調の精神に富み、心身ともに健康で、明るく豊かな地域社会の発展に貢献できる人間」の育成を目指すことでした。この目標達成のため、以下の五つの教育方針を掲げていました。

1. 農業の意義や役割を深く理解し、主体的に農業の発展に寄与できる人材の育成に努める。
2. 物事に対する課題意識を持ち、科学的な探求心と豊かな想像力をもって問題解決に取り組める人間を育てる。
3. 自立した精神と他者と協力する心を養い、与えられた役割に対する強い責任感を持つ生徒を育成する。
4. 自然環境と人間の共存の重要性を学び、故郷である郷土を愛する心豊かな生徒を育む。
5. 健康な心身を育み体力を増進させるとともに、学ぶことに対する意欲と実践力を兼ね備えた人材を育成する。

これらの教育方針に基づき、実践的な学びを通して、地域社会に貢献できる農業技術者や関連分野で活躍できる人材を育成することを目指していました。

学校生活

生徒たちは、専門分野の学習に加え、多様な部活動を通じて高校生活を豊かに送っていました。運動部では、陸上競技、バレーボール、卓球、バドミントン、登山、野球、サッカーなど、様々なスポーツに汗を流しました。文化部では、茶道や華道といった伝統文化に触れる活動から、測量、生命科学、パソコン、美術など、専門性や創造性を育む活動まで、幅広い分野の部活動が行われていました。

閉校

2004年度をもって新規生徒の募集を停止した後、在校生が卒業するのを待って、2006年3月31日にその歴史に幕を下ろしました。閉校に先立つ3月4日には、最後の卒業生を送り出すとともに、多くの関係者や卒業生が集まる中で閉校式典が執り行われ、長年の歴史と伝統に感謝を捧げ、別れを惜しみました。旧七尾農業高等学校の校地・校舎は、新しい石川県立七尾東雲高等学校に引き継がれ、現在も教育の場として活用されています。

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