石川石炭火力発電所

石川石炭火力発電所（いしかわせきたんかりょくはつでんしょ）

石川石炭火力発電所は、日本の電力会社である電源開発株式会社（J-POWER）が運営する主要な発電施設の一つです。沖縄県うるま市石川赤崎という場所に位置しており、沖縄本島の電力供給の一端を担う重要な役割を担っています。

この発電所は、沖縄本島の電力供給を主に行う沖縄電力株式会社に対して、安定した電力を供給するために建設されました。

設備の歴史と概要

発電所の建設計画が進められ、まず最初の設備である1号機が完成しました。1号機は1986年（昭和61年）11月7日に営業運転を開始し、電力供給網に加わりました。続いて、2号機の建設も完了し、1987年（昭和62年）3月6日に運転を開始しました。これにより、石川石炭火力発電所は2基体制で本格稼働することとなりました。

発電所全体の能力を示す総出力は31.2万キロワット（kW）に達します。これは、個々の発電設備である1号機と2号機、それぞれが持つ出力能力を合わせたものです。

発電設備詳細

石川石炭火力発電所の核となる発電設備は以下の2基です。

1号機

定格出力: 15.6万kW
使用燃料: 石炭
蒸気条件: 超臨界圧（Super Critical）
熱効率: 42%（低位発熱量基準）
営業運転開始: 1986年11月7日

2号機

定格出力: 15.6万kW
使用燃料: 石炭
蒸気条件: 超臨界圧（SC）
熱効率: 42%（低位発熱量基準）
営業運転開始: 1987年3月6日

技術的な特徴

石川石炭火力発電所の設備は、いずれも「超臨界圧（Super Critical）」と呼ばれる方式を採用しています。これは、火力発電の効率を高めるための重要な技術です。通常、水を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電しますが、超臨界圧ボイラーでは、水を大気圧の約220倍という非常に高い圧力と、約374℃を超える高温状態で扱うことで、水が液体の状態と気体の状態の区別がつかなくなる「超臨界状態」を作り出します。

この超臨界状態の流体を用いることで、従来の圧力・温度で運転されるボイラー（亜臨界圧）と比較して、タービンを回すための蒸気をより効率的に生成することが可能となります。結果として、同じ量の燃料からより多くの電力を生み出すことができ、発電所の「熱効率」が向上します。石川石炭火力発電所では、この技術によって42%（燃料の発熱量を測る際の「低位発熱量基準」に基づく）という熱効率を実現しています。

高効率な発電は、燃料消費を抑制することにつながり、経済的な運用だけでなく、資源の有効活用という観点からも重要です。

役割と立地

沖縄県の主要な火力発電所の一つとして、石川石炭火力発電所は沖縄電力の電力供給体制において基幹的な役割を担っています。うるま市の沿岸部に位置しており、燃料となる石炭の輸送など、立地の利便性も考慮されています。

沖縄の安定した電力供給を支える施設として、長期にわたり稼働を続けています。

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