石巻南浜津波復興祈念公園

石巻南浜津波復興祈念公園について

石巻南浜津波復興祈念公園は、宮城県石巻市の沿岸部、かつて多くの住宅が立ち並び、東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた南浜地区に位置しています。この広大な公園は、震災の犠牲者を追悼し、地域の復興を祈念することを主な目的として、国と県の協力により整備されました。震災による津波やその後の火災により、この地域では多数の尊い命が失われ、多くの人々が行方不明のままとなっています。

設立の経緯

公園整備の構想は、震災発生後の2011年12月に石巻市の復興計画に盛り込まれる形で始まりました。国土交通省による祈念公園の基本的なあり方の整理を経て、地域からの要望や市民フォーラムでの議論、計画案への意見募集などを経て、2015年8月に基本計画が策定されました。着工は2017年3月に行われ、東日本大震災から10年となる2021年3月に慰霊碑の除幕式が行われました。同月には公園自体も開園し、地域にとって重要な追悼と伝承の場が誕生しました。

公園の構成と主な施設

総面積約38.8ヘクタールにおよぶ公園は、国営、県営、市営のエリアに分かれて整備されています。

国営エリア:
唯一の建物である「みやぎ東日本大震災津波伝承館」が併設されています。この円形の施設では、被災者の声や語り部による活動を通じて、震災の被害と教訓を伝えています。
市民活動の拠点や、「がんばろう！石巻」の看板、南浜つなぐ館などが設けられています。
広大な追悼の広場や祈りの場は、静かに犠牲者を偲ぶための空間です。
県営エリア:
かつての街並みを偲ばせる濡れ仏や、善海田池、雲雀野松原、公園全体を見晴らせる一丁目の丘（築山）などが配置されています。
市営エリア:
黒御影石製の立派な慰霊碑が建立されており、震災で亡くなった多くの方々の名前が刻まれています。
遊具などが設置された雲雀野広場（多目的広場）や、一丁目松原などがあります。

理念と空間デザイン

この公園の基本的な理念は、犠牲者への追悼と鎮魂に加え、石巻の街と震災の記憶を後世に伝え、生命が営まれる「杜」を育み、人々の「絆」を紡ぐことにあります。空間構成においては、住宅地となる前の自然豊かな「浜」の姿、震災前の賑わいがあった「街」の記憶、そして震災犠牲者への「追悼と伝承」という三つの要素が重視されています。敷地内の植生も、海岸側のクロマツ樹林から内陸に向かって多様な樹木や草花が配置され、自然との共生が図られています。

利用案内とアクセス

公園は年間を通して利用可能ですが、みやぎ東日本大震災津波伝承館には休館日があります。いずれの施設も無料で入園・入館できます。

開園時間: 4月〜9月は9時から18時、10月〜3月は9時から17時。
伝承館開館時間: 9時から17時（最終入館16時30分）。
休館日: 公園は年中無休。伝承館は原則として月曜日、祝日の翌日、年末年始（12月29日〜1月4日）が休館（ただし、毎月11日は開館）。

アクセスは、三陸沿岸道路の石巻港ICまたは石巻河南ICから車で約15分です。公共交通機関を利用する場合、JR石巻駅から車で約10分、またはバスで門脇四丁目バス停下車後徒歩約12分で到着します。

周辺には、石巻市立門脇小学校や日和山公園などがあります。

石巻南浜津波復興祈念公園は、震災の悲劇を決して忘れることなく、未来への希望を育むための、静かで力強い場所として多くの人々に訪れられています。

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