石巻日日新聞

石巻日日新聞の概要

『石巻日日新聞』（いしのまきひびしんぶん）は、石巻日日新聞社によって宮城県の石巻市、東松島市、牡鹿郡女川町を中心に発行されている地域紙です。1913年に創刊されて以来、この地域に密着した情報を提供し続けています。

歴史的沿革

この新聞は1912年、山川清によって創刊された日刊紙『東北日報』を前身としていますが、その経営は困難をきたし、1913年に『石巻日日新聞』に改題されました。されど初期の数年間は経営が安定せず、経営者の交代が続きましたが、編集チームは引き継がれたため新聞としての運営は続けられました。

1921年には同盟通信に加盟し、全国ニュースや国際ニュースを配信することにより、より多様な情報を提供できるようになりました。しかし、1940年には「一県一紙」政策により廃刊を余儀なくされました。

戦後、和田鉄夫が迅速に『石巻新聞』を立ち上げましたが、『石巻日日新聞』の復刊を目指す動きがあり、1948年に戦前の紙齢を引き継いで復刊されました。翌1949年には日刊紙となり、その後の経営は佐藤露紅から斉藤末治へと引き継がれました。

1971年には印刷技術の向上のためオフセット印刷機を導入し、1976年にはコールド・タイプ・セッティング化を達成しました。さらに1985年には、地域情報を特集した無料月刊タウン誌「いしのまき・らいふ」の発行を開始しています。

震災の影響とその後の活動

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、石巻日日新聞の本社が津波に襲われ、社員や施設に大きな影響を及ぼしました。新聞の印刷機が水没する中、社内のスタッフは懐中電灯で照明しながら、新聞用のロール紙に手書きで情報を記載した壁新聞を作成しました。この壁新聞は避難所に張り出され、ライフラインや避難生活に必要な情報を市民に迅速に伝える重要な役割を果たしました。

震災の翌日からは通常の新聞発行を再開し、1日も休刊することなく地域に密着した情報を提供し続けています。この取り組みは、アメリカの『ワシントン・ポスト』などで報じられ、国際新聞編集者協会から特別な表彰を受けるなど、広く評価されました。また、菊池寛賞も授与され、地元メディアとしての責務を全うしたとして高い評価を得ています。

震災から1年後の2012年には、フランスの月刊誌による壁新聞展や特集が発行され、石巻日日新聞の取り組みが国際的に広まりました。

テレビや書籍への展開

石巻日日新聞は、いくつかのテレビ番組に取り上げられ（例: 情熱大陸、ドキュメンタリードラマ『3.11 その日、石巻で何が起きたのか』）、その発行活動や震災直後の行動が広く紹介されています。また、書籍『6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録』が発刊されるなど、震災に対する取り組みが記録として残されています。

終わりに

石巻日日新聞は、その長い歴史の中で、地域の情報をしっかりと伝え続け、特に震災後の社会においては、その役割が一層重要となっています。地元の声を拾い上げる存在として、これからも街の歴史と未来を支えていくことでしょう。

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