石巻競馬場 (蛇田)

石巻競馬場（蛇田）の歴史と概要

石巻競馬場（蛇田）は、宮城県石巻市にかつて存在した歴史ある競馬場です。この競馬場は、1915年に設置され、長い歴史を持っていますが、1929年に閉鎖されました。現在の石巻市門脇青葉西から蛇田新下前沼、蛇田新東前沼地域に位置していたことが知られており、青葉神社の北にあたります。

設立の背景

石巻競馬場の開設は、当時の蛇田村村長遠藤章平氏が会長となり、蛇田競馬協会の設立をきっかけに始まりました。個人の田圃と村有の谷地が買収されて競馬場が設置されたのです。石巻市史の記録によると、開設初期には草競馬のように行われていたとされていますが、実際には公式の競馬イベントが多く催されていました。

競馬場の運営と参加者

競馬場は春と秋の季節に定期的に競馬を開催し、大変な人気を博していました。記録によると、開設当初は合計約2万人もの入場者を数えたとされています。当時の入場料は大人が10銭、小人が5銭、勝馬投票券は50銭でした。これらの数字からも、競馬場が多くの人々に親しまれていたことが伺えます。

競馬場の施設には、一周800mのコースがあり、内側は木柵、外側は土塁で整備されていました。さらに、審判所、検量所、観覧席、救護所、騎手や馬主の控室、馬を繋ぐ場所、事務所など、充実した設備が整っていました。

所在地と構造

当競馬場の位置は、大正5年に発行された「牡鹿郡案内誌」に記載があり、青葉神社の北隣地にあたるとされています。敷地には南北に長い楕円形のコースが描かれており、300m以上の長さがありました。この位置関係は、後に仙石線の通過に伴って移転されたとの記録とも一致しています。

開催記録

石巻競馬場（蛇田）での競馬の開催記録は豊富です。例えば、大正4年5月には競馬が開催され、多くの参加者が集まりました。優勝馬の中には、栗駒という内洋種の牡馬がいたことも知られています。当初予定されていた日程が雨天のため変更されるなど、時には天候に影響されながらも多くの競馬イベントが行われました。

記録によると、大正6年5月には申込頭数が新馬16頭、古馬13頭に及び、同年の開催は大いに賑わいを見せました。その後も年ごとに競馬は行われ、地元の人々に多くの楽しみを提供していました。

競馬場の閉鎖

しかし、1929年には宮城電気鉄道の線路用地に買収されると、石巻競馬場（蛇田）は寂しさを増すことになります。これにより、この地での競馬は終止符を打たれましたが、その歴史は今もなお地域に伝えられています。

まとめ

石巻競馬場（蛇田）は、宮城県の競馬史において重要な役割を果たした場所です。公式競馬としての運営実績と多くの賑わいを誇り、地域の文化に与えた影響は決して小さくありません。今後も、競馬場の歴史を知ることは、地域を理解するための大切な要素となることでしょう。

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