石油の備蓄の確保等に関する法律

石油の備蓄の確保等に関する法律について

「石油の備蓄の確保等に関する法律」（以下、石油備蓄法）は、1975年に制定された日本の法律です。この法律は、日本への石油供給が不足する事態に備え、石油の安定的な供給を確保し、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に資することを目的としています。通称として「石油備蓄法」と呼ばれることもあります。

制定の背景

1970年代のオイルショックを経験した日本は、石油供給の不安定さに対する脆弱性を痛感しました。そこで、安定的なエネルギー供給を確保するための対策として、石油の備蓄を義務付けるこの法律が制定されました。

法律の構成

石油備蓄法は、以下の章で構成されています。

第一章　総則（第1条―第3条）：法律の目的や定義など、基本的な事項を定めています。
第二章　石油の備蓄
第一節　石油備蓄目標（第4条）：国が定める石油備蓄の目標について規定しています。
第二節　石油ガス以外の石油の備蓄（第5条―第9条）：原油や重油などの備蓄義務について定めています。
第三節　石油ガスの備蓄（第10条―第12条）：液化石油ガス（LPG）などの備蓄義務について定めています。
第三章　石油輸入業の登録等
第一節　石油輸入業の登録（第13条―第22条）：石油輸入業者の登録制度について定めています。
第二節　石油精製業等の届出（第23条―第25条）：石油精製業者などの届出義務について定めています。
第四章　雑則（第26条―第35条）：その他の規定について定めています。
第五章　罰則（第36条―第40条）：法律違反に対する罰則について定めています。

主な内容

1. 石油備蓄の義務化: 石油の安定供給のため、国や石油関連事業者に一定量の石油備蓄を義務付けています。備蓄の対象となるのは、原油、重油、ガソリン、灯油、軽油などの石油製品です。備蓄量は、国の備蓄目標に基づいて定められ、定期的に見直されます。
2. 石油輸入業者の登録制度: 石油の輸入を行う事業者は、経済産業大臣の登録を受ける必要があります。これにより、輸入業者の管理を徹底し、石油の安定的な供給体制を確保しています。
3. 石油精製業者の届出: 石油の精製を行う事業者も、経済産業大臣への届出が必要です。
4. 備蓄石油の放出: 石油の供給が不足する緊急事態が発生した場合、政府は備蓄している石油を放出することができます。これにより、石油の価格高騰を抑制し、国民生活や経済への影響を最小限に抑えることができます。

石油備蓄の種類

石油備蓄には、以下の3つの形態があります。

1. 国家備蓄: 国が直接備蓄するもので、大規模なタンクや地下備蓄基地などに保管されます。主に、大規模な供給途絶に備えるためのものです。
2. 民間備蓄: 石油会社などの民間事業者が備蓄するもので、備蓄量は法律で義務付けられています。平時の安定供給を維持する役割があります。
3. 産油国共同備蓄: 産油国と共同で備蓄するもので、国際的な協力関係を強化し、供給途絶のリスクを分散させることを目的としています。

法律の意義

石油備蓄法は、日本のエネルギー安全保障において非常に重要な役割を果たしています。石油供給の途絶リスクに備えることで、国民生活や経済の安定を確保し、国際社会における日本の立場を強化することにも繋がっています。

石油の備蓄の確保等に関する法律