石黒宗麿

石黒 宗麿（いしぐろ むねまろ）

概要

石黒宗麿は、1893年4月14日に富山県射水市の旧新湊市で生まれた陶芸家です。彼の作品は主に射水市新湊博物館に収蔵されています。1968年6月3日に没するまで、彼は日本の陶芸界で多大な影響を与え続けました。

来歴

石黒は医師の家庭に生まれ、魚津中学校（現富山県立魚津高等学校）に通った後、富山中学校（現富山県立富山高等学校）に編入しましたが、中退し、慶應義塾普通部に入学しました。20歳の頃には金沢の野砲兵第九連隊に入隊し、朝鮮に駐屯。その後、23歳で金沢に帰郷し、地元の陶芸に触れることで次第に陶芸への興味を深めていきました。これにより、彼の人生は陶芸に向かうこととなります。

1919年頃、東京美術クラブで曜変天目茶碗「稲葉天目」を見たことが、彼が陶芸を志す大きなきっかけとなりました。その後、小山富士夫らとともに日中の古陶磁の研究を行い、再現に努めます。1935年には、京都市八瀬に自身の窯を築き、本格的に制作を始めました。1941年には、曜日変天目の影響を受けた多彩な技法を駆使し、さまざまな宋窯技法の解明に成功しました。

作品と評価

石黒の作品は、鉄釉を基にした高品位なものであり、唐三彩や均窯、絵高麗、三島、唐津などの技術を駆使して、陶芸界に広く知られる存在となりました。1955年には、彼の優れた作品が認められ、鉄釉陶器の重要無形文化財保持者、いわゆる「人間国宝」として認定される栄誉を受けました。同年、日本工芸会の理事として伝統工芸の振興に尽力し、陶芸に対する情熱を持ち続けました。

1956年には、富山県新湊市の名誉市民に推され、また同年、陶芸研究家のための施設である財団法人八瀬窯を設立し、後進の育成にも尽力しました。彼の教育の影響は、今も陶芸界に残っており、石黒の技術は受け継がれています。

受賞歴と晩年

晩年の石黒は、1963年に紫綬褒章を受章し、1968年には勲三等瑞宝章を授与されました。彼は、陶芸の発展だけでなく、社会福祉にも尽力し、多様な福祉活動に協力を行いました。特に身体障害者や精神的な支援を必要とする子どもたち、さらに母子家庭や保育園などへの支援に関与し、地域社会への恩返しを果たしました。

石黒宗麿の死は、陶芸界にとって大きな損失でしたが、彼の作品や影響は今なお多くの人々に愛され続けています。彼の墓所は八瀬霊苑にあり、現在も多くのファンが訪れます。彼の追求した美と技術は、今後も多くの陶芸家たちに受け継がれていくことでしょう。

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