砂の十字架

砂の十字架

1981年2月21日にリリースされたやしきたかじんのシングル「砂の十字架」は、アニメ映画『機動戦士ガンダム』の主題歌として知られています。この曲は谷村新司が手掛けたもので、リリース当時は13万枚を超える大ヒットを記録しました。カップリング曲の「スターチルドレン」は、たかじん自身が作曲し、作詞は井荻麟というペンネームを持つ富野由悠季が担当しました。

背景とリリース

この曲がリリースされる背景には、当時鳴かず飛ばずだったたかじんを支えるスタッフの思いがあります。キング[[レコード]]のディレクターは、たかじんに音楽を録音するチャンスを与えるよう、部長に涙ながらにお願いしたのです。このような経緯から、たかじんには『機動戦士ガンダム』の主題歌を歌うよう指示されました。たかじんは歌詞に「ガンダム」という言葉が含まれないことを条件に承諾しましたが、当時の彼はこの作品についてあまり理解していなかったため苦労しました。

レコーディングの苦悩

録音中、たかじんは富野と直接会い、歌の最初のフレーズである「ライリーライリー」の意味を尋ねましたが、富野はあまり理解していなかった様子でした。このことが彼にとってストレスの種となり、歌詞に対する強いこだわりから、レコーディングは通常の半日を超えて2日間にわたり行われました。特に「ライリー」という言葉に対する理解ができず、谷村に電話してその意味を尋ねたこともありましたが、彼の答えはかえってたかじんを混乱させるものでした。彼はこの時の苦悩を後々にも詳細に語っています。

矛盾した思い

「砂の十字架」のヒット後、たかじんは「あんた」や「やっぱ好きやねん」といった他のヒット曲を次々とリリースしましたが、この曲に対しては辛辣な評価を下しました。彼は自身のキャリアの中でこの曲を「人生最大の汚点」とまで語り、ガンダムにまつわる話題は避けるようにしていました。しかし、ガンダムを観たことがなかったたかじんは、その作品世界に嫌悪感を持っていたわけではなく、あくまで歌詞の内容と自身のキャリアの一部に懐疑的だったと言えるでしょう。

関係の維持

それにも関わらず、たかじんは谷村との関係が悪化したわけではなく、彼の番組に谷村をゲストとして招くこともありました。この際、たかじんは「砂の十字架」のエピソードを語ることもあり、少なからずこの曲との向き合い方を示していました。カップリング曲である「スターチルドレン」とは異なり、たかじんはこの曲についてあまり言及していないようです。

カバーと評価

「砂の十字架」は他のアーティストによってもカバーされています。例えば、水木一郎、Gackt、森口博子など、多彩なアプローチでこの曲の魅力を引き出しています。また、アニメタルによる「スターチルドレン」のヘヴィメタル風のカバーも話題となっています。これにより、たかじんの「砂の十字架」は単なる一曲以上の存在となり、アニメ音楽の重要な一部として位置づけられています。

最終的には、たかじんにとって「砂の十字架」は複雑な思い出が残る一曲でありつつも、彼の音楽キャリアにおいて重要なマイルストーンとなったことは間違いありません。

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