砲塔四五口径四〇糎加農砲

砲塔四十五口径四十糎加農の概要

砲塔四十五口径四十糎加農は、大日本帝国陸軍が運用していた砲塔形式の加農砲です。この火器は、歴史的な背景と海軍艦砲の利活用に基づいており、1922年に始まったワシントン海軍軍縮条約とその影響が深く関わっています。

1. ワシントン海軍軍縮条約と破棄艦

1922年、各国が軍艦の保有数を制限される中、日本の艦艇の中でも多くの戦艦や巡洋戦艦が廃艦となるか、建造中止を余儀なくされました。具体的には、戦艦の加賀や土佐、巡洋戦艦の天城や赤城など、多くの艦艇が廃棄され、陸軍がこれらの艦砲を転用することが検討されました。

この状況で、陸軍は旧式化した海岸要塞砲の更新を急務としており、新型大口径加農砲の製造を依頼していました。しかし、予算や資材の面から新型砲に依存し続けるのではなく、廃艦からの艦砲を活用することが経済的であるとの判断が下されました。

2. 陸軍への艦砲移管

海軍と陸軍の協議の結果、残された艦艇から砲を陸軍に転用することが計画され、陸軍の新しい砲塔は「砲塔四十五口径四十糎加農」と名付けられました。海軍側はこの計画に協力し、それぞれの砲に対して100発の砲弾を添えて陸軍に引き渡され、改修工事や設置に関しても海軍工廠から支援が行われました。

3. 設置と改修

陸軍への移管後、艦砲は可能な限り元の形状を保ったまま設置されました。設置場所には、地下に弾薬庫が設けられ、砲塔の地下には動力室が設けられました。この動力室には水圧ポンプや発電機、空気圧縮機が備えられ、砲塔の稼働に必要なエネルギーを供給しました。たとえば、一号砲には75馬力のディーゼルエンジンや、32馬力のガソリンエンジンなどが使用されました。

4. 砲塔の構造と防御

砲塔の装甲は非常に頑強で、前面は305mm、側面と後面は190mmから230mm、天蓋部分は127mmから152mmの厚さがありました。この頑丈な設計により、長期間にわたる運用が可能でした。さらに、電気誘導式の八八式海岸射撃具も設置され、砲塔は主観測所と接続され、効果的な射撃が実現されるよう工夫されていました。

5. 結論

砲塔四十五口径四十糎加農は、単なる武器としてだけでなく、当時の軍事的・経済的環境を反映した重要な存在でありました。海軍の艦砲を転用することで、陸軍は効率的に火力を強化することができ、国防における役割を果たしました。このような背景を知ることで、当時の日本陸軍の火砲に対する取り組みや戦略を理解することができます。

もう一度検索