破壊!

1974年にアメリカで製作された映画『破壊!』（原題：Busting）は、正義感に燃える二人の刑事が、警察内部の腐敗と巨大な麻薬組織に立ち向かう姿を描いたポリス・アクションです。

ストーリー概要

物語の舞台はロサンゼルス市警の風紀課。主人公は刑事のマイケルとパトリックです。彼らの日常的な任務は売春婦の摘発でした。ある日、高名なコールガールであるジャッキーを逮捕しますが、すぐに事態は急変します。次の捜査に着手する間に、ジャッキーに関する証拠が不自然にもみ消されていたのです。これは、実は署長がジャッキーの顧客であったために、彼の都合で彼女が釈放された結果でした。

二人は再び新たな任務に就きます。売春と麻薬取引が行われているポルノ・ショップの調査でした。売春婦の逮捕には成功したものの、麻薬は発見できませんでした。彼らは麻薬捜査のための令状を申請しますが、許可は下りません。そこで、二人は正規の許可なく深夜にポルノ・ショップへ潜入し、独自に捜査を進めることを決行します。

この潜入捜査によって、ついに麻薬を発見し、現場にいた売人たちも逮捕することに成功します。しかし、応援に駆けつけた警官の不手際により、残念ながら一人の売人を取り逃がしてしまいます。さらに悪いことに、この捜査がきっかけで、彼らは上司から衝撃的な事実を告げられます。それは、署長が街を牛耳る麻薬組織の首領、リゾーと深く癒着しているという事実でした。上司は彼らに、これ以上この件に深入りしないよう強く警告します。

リゾーや警察組織の腐敗に対する怒りを募らせる二人は、その後、公衆便所に出没する変質者の逮捕といった、全くやりがいの感じられない不毛な仕事に回されます。彼らは自身の刑事としてのキャリアを振り返り、当初から取るに足らない仕事が多かった現実が今も変わっていないことに気づきます。一方で、巨悪であるリゾーがのうのうと暮らしている現状を知り、彼らの怒りは頂点に達します。二人は直接リゾーのもとへ乗り込み、自分たちが決して買収に応じない姿勢を示します。

しかし、リゾーへの反抗的な態度をとったことで、彼らは報復を受けることになります。その報復行為が上司の知るところとなり、マイケルとパトリックのコンビは解消させられてしまいます。それでも、彼らの怒りと執念は衰えることなく、週末をも返上してリゾーへの嫌がらせを続けます。

やがて、リゾーは病に倒れて入院します。しかし、病院を張り込んだ二人は、リゾーの入院が単なる口実であり、病室で密かに麻薬取引が行われていることに気づきます。逃亡を図るリゾーを追い詰め、ついに銃口を突きつけますが、リゾーは一切の証拠がないことを盾に取り、「自分は逮捕されない」と嘯（うそぶ）き、二人を嘲笑します。

リゾーの言葉を聞いたマイケルは、自身の無力感と警察組織の根深い腐敗を改めて痛感し、深い絶望に打ちひしがれます。そして、ついに警察を辞職し、新たな道へ進むことを決意するのです。正義を追い求める刑事たちの孤立と苦悩、そして組織の暗部を描いた本作は、ポリス・アクションというジャンルの中で、単なる活劇にとどまらないリアリティと重厚さを持っています。

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