破妖の剣

破妖の剣

前田珠子による日本のライトノベル、およびそれを原作としたメディアミックス作品。

舞台はガンダル・アルスと呼ばれる世界。そこは魔性が跋扈する世界であり、人々は浮城に住む能力者たちに頼るしかなかった。

あらすじ

12歳で浮城にやってきた少女・ラエスリールは、対魔性の剣「紅蓮姫」に選ばれた破妖剣士として、闇主とともに、人を脅かす魔性と戦う日々を送る。しかしそれは、彼女の運命を大きく変える第一歩に過ぎなかった。

主な登場人物

メインキャラクター

ラエスリール

本作の主人公。通称ラス。浮城の城長の養女であり、名剣「紅蓮姫」に選ばれた破妖剣士。複雑な出自と不遇な育ちから、自己主張が乏しく、人とのコミュニケーションを苦手としている。しかし、根は義理堅く実直な性格で、一度打ち解けた相手には非常に甘く寛大。

闇主（あんしゅ）

ラエスリールの押し掛け護り手。深紅の髪と瞳、絶世の美貌を持つ青年。その正体は、柘榴の妖主と呼ばれる最上級魔性。明るくお調子者で、時にラエスリールを苛立たせ、時に慰める。かなり自己中心的で奔放な性格。

ザハト

両親を失い、住んでいた町を魔性に襲われ、浮城を頼ってきた少年。ラエスリールを「姉ちゃん」と呼び、よく懐いている。実は、人間に化けていた白焔の妖主と紫紺の妖主との間に生まれた魔性。

セスラン

ブロンズの髪に青い瞳を持つ、年齢不詳の青年。ラエスリールが浮城に来るきっかけとなった命の恩人であり、保護者的役目を自任する捕縛師。一見温厚だがかなりの曲者。魔性を自らの体に封じる特殊な能力を持つ。

サティン

ラエスリールの姉的存在の捕縛師。砂色の髪を持つ、したたかで世話焼きな美女。捕縛師としての腕も立ち、一国の王妃へと乞われるほどの実力を持つ。

リーヴシェラン

カラヴィス公国第二公女。波打つ金髪、碧眼。自らの髪を弦にした琴の音色で魔性を魅了する魅縛師。最初はラエスリールを嫌っていたが、ある事件をきっかけに親友となる。

アーゼンターラ

6作目のサブヒロイン。通称はターラ。銀髪に紫の瞳の少女。浮城から「紅蓮姫奪還」の命を受けた捕縛師。紅蓮姫の初代の使い手で恋人でもあるラキスの生まれ変わり。

魔性

妖主（ようしゅ）

最も強力な力を持つ、絶対の美貌を持つ魔性の王たち。世界に5人しかおらず、各々黒以外の独自の色彩を身に纏う。金の君、柘榴の君、白焔の君、翡翠の君、紫紺の君が存在する。6作目からは第6の妖主が登場。

妖貴（ようき）

世界に50人しかいないといわれる、魔性のエリート。妖鬼と比べると桁違いの強さを誇る。全員人の姿をし、漆黒の髪と瞳を持ち、その容姿は総じて人よりも美しい。

妖鬼（ようき）

人の姿に近い外見をしており、己の力と命数を増すために人を襲う。知性も小鬼より高く、人の言葉を話す。人間の姿に近いほど高位の妖鬼とされる。

小鬼（しょうき）

魔性の中で最も力の弱い者達。それでも人よりも力は勝る。村や町を襲い、その血肉と命を啜る。知能は低く人の言葉もままならず、人外な醜い姿をしている。

用語

破妖刀（はようとう）・破妖剣士（はようけんし）

人が唯一魔性を滅ぼすことができる武器のこと。魔性の心臓に突き刺すことで、その命を食らう。剣だけでなく、斧などの形態もあるが、絶対数は少ない。意識を持ち、主を選ぶ。使い手として選ばれた者は、武器の形態に関係なく破妖剣士と呼ばれる。

浮城（ふじょう）

白砂原の中心にある、空に浮く巨大な岩石の城。その存在は世界にとって絶対のものであるらしい。魔性に対抗できる能力を持つ者達やその素質を見出された子供達が集う。城長（しろおさ）を中心として治められている。組織としての名でもある。

護り手（まもりて）

魅縛師に心奪われて浮城に仕える魔性達のこと。大抵は元・妖鬼。魅縛されたことで、「人間を殺めることは禁忌」という呪縛が施される。浮城に所属する者は護り手を得てはじめて一人前とみなされ、外で仕事をすることができる。護り手となった魔性たちには他者を治癒する能力がつく。

魅縛師（みばくし）

魔性を虜にし、従わせる力を持つ者たちのこと。浮城の護り手はこの魅縛師によって捕われた魔性が主である。捕縛師同様その力の発現は様々であり、使う道具なども人によって異なる。しかし、捕縛師や破妖剣士とは違い、戦闘能力はないに等しく、魅縛術によっては本人がかなり無防備な状態になるので、浮城の外での仕事は少ない。

魅了眼（みりょうがん）

その眼差しで人であれ魔性であれ虜にし、従わせる魔力を持つ瞳のこと。金の君と先代の城長であったチェリク、その子供達が持っている（一家の中ではラスのそれが最も強い力を持つようである）。魔性・人間に関わらず持っている者は少ないという。

メディアミックス

小説の他にも、漫画、ドラマCD、OVAなどのメディアミックス展開が行われている。

漫画

厦門潤によるコミカライズ作品や、松元陽によるコミカライズ作品が存在する。

ドラマCD

1991年に「漆黒の魔性編」が、2000年に「コバルトときめきドラマシアターII」が発売されている。

* OVA

小説・本編第1巻「漆黒の魔性」がOVA化され、1992年11月にVHSで販売された。

『破妖の剣』は、魅力的なキャラクターと壮大な世界観で、多くのファンを魅了し続けている作品である。

もう一度検索