破産廃止

破産手続廃止について

破産手続廃止とは、破産手続きの終了原因の一つです。破産手続きは、配当が行われた場合の破産手続終結決定や、再生計画認可決定の確定など、破産に優先する手続きが行われた場合にも終了しますが、ここでは破産手続廃止に焦点を当てて解説します。

破産手続廃止は、大きく分けて以下の3種類があります。

同意廃止
同時廃止
* 異時廃止

同意廃止

要件

同意廃止は、以下の要件を満たす場合に可能です。

1. 債権届出期間内に届出をしたすべての破産債権者の同意を得ていること
2. 同意しない破産債権者がいる場合、裁判所が相当と認める担保を供していること

法人が同意廃止を申し立てるには、定款などの基本約款の変更に関する規定に従い、あらかじめ法人を継続する手続きが必要です。これは、破産手続き開始決定により法人が解散することになるため、継続の手続きを取らない場合、同意廃止を行う意味がなくなるためです。

また、破産者が免責申立ても行っている場合には、同意廃止の申し立てはできません。

意義と効果

同意廃止における破産債権者の同意は、破産手続きの続行を求める利益を放棄する意思表示と解釈されます。そのため、破産債権者が破産手続きの続行を求めない場合に、破産手続きを終了させる規定です。

裁判所は、同意廃止の申し立てがあった場合、その旨を公告しなければなりません。届出をした破産債権者は、公告が効力を生じた日から2週間以内に、裁判所に対し、同意廃止の申し立てについて意見を述べることができます。

裁判所が同意廃止の申し立てによる破産手続廃止決定をしたときは、直ちにその主文と理由の要旨を公告し、破産者と破産管財人に裁判書を送達する必要があります。棄却した場合には、破産者に裁判書を送達します。この破産手続廃止決定、棄却の決定に対しては即時抗告が可能です。

破産手続廃止の決定は、確定しないと効力が生じません。また、同意廃止が確定した場合、破産者は当然に復権します。

同時廃止

要件

同時廃止は、破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足する場合に行われます。ここでいう破産財団には、現に破産者の手元にある財産だけでなく、過払い金返還請求権などの未収債権や、破産管財人が否認権を行使して回収すべき財産も含まれます。

同時廃止手続きは、破産手続き費用（主に破産管財人の報酬）の負担を免れるというメリットがある反面、管財人による財産調査がされないまま破産手続きが終結してしまうため、破産者による財産の隠匿などが見過ごされる可能性があります。

実務上は、少額管財手続きにおける予納金の最低金額が20万円程度であることから、以下の条件を満たす場合に同時廃止決定がなされます。

1. 現金を含め、換価した場合の価値が20万円を超える財産を有していないことが明らかであること
2. 免責不許可事由が存在しないか、存在しても軽微であり、裁量免責を受けることが明らかであること

意義と効果

同時廃止は、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止の決定を行い、破産管財人が選任されることなく破産手続きが終了します。同時廃止手続の申立権は破産者にはなく、裁判所が職権で決定します。同時廃止決定に対しては即時抗告が可能ですが、執行停止の効力はありません。

同時廃止手続きは、多重債務問題が深刻化した平成初期以降、低廉な費用と簡素な手続きで終了することから注目されるようになりましたが、少額管財手続きの定着などにより、近年では同時廃止手続きが破産の主流を占める状況は解消されています。

異時廃止

要件

異時廃止は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する場合に行われます。同時廃止と同様に、ここでいう破産財団は、現実に存在している破産財団に限られません。

開始決定時点で破産財団から費用が支弁できないことが明らかである場合は同時廃止となるため、異時廃止がなされるのは、財産の存否が不明であるため調査を行ったが、結局財産が存在しなかった場合や、開始決定時には存在すると予想されていた財産が存在しなかった場合などです。

決定にあたっては、債権者集会において債権者の意見を聴くか、それに代えて書面による意見聴取が必要です。

意義

異時廃止は、破産手続開始決定後に破産手続きが廃止されることから、事後廃止とも呼ばれます。破産管財人の申し立て、または裁判所の職権により廃止決定が行われます。

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