破産財団

破産財団とは

破産財団（はさんざいだん）は、破産者が持つ財産や、相続財産、さらには信託財産を指し、破産手続において破産管財人がその管理や処分権を専有する重要な対象です（破産法第2条第14項）。破産手続における手続費用や債権者への弁済のための資金は、全てこの財団から賄われることとなります（破産法第193条第1項）。

破産財団の構成要素

破産財団には、破産手続の開始が決定された時点で、差し押さえ可能な債務者の全ての財産が含まれます。この財産は国内外を問わず、幅広くカバーされます（破産法第34条第1項、3項）。また、破産手続開始の前に発生した原因から生じた請求権も財団の構成に含まれることになります（同条第2項）。

自己破産や任意整理などの場合、債務者が申立て時に認識していた財産だけでなく、破産管財人が行使する否認権の結果、取り戻される可能性のある財産（破産法167条）や役員責任査定に基づく請求権も破産財団に含まれます（破産法第178条第1項）。

固定主義と膨張主義

破産財団の決定的な考え方は「固定主義」と呼ばれ、これは破産手続開始決定時における財産を基準として、財団を形成することを意味します。これに対し、「膨張主義」という考え方も存在します。固定主義に基づくと、個人が破産した場合、手続開始決定以降に取得した財産は全て自由財産とされ、債権者による請求の対象とはならないのです。

取戻権と別除権

取戻権は、破産者に属さない財産を破産財団から取り戻す権利を意味します。この権利は破産手続に関係なく利用できるため、破産財団に含まれているように見える財産でも、第三者が取戻権を行使することによって、破産債権者の配当資源から除外される可能性があります（破産法第62条）。

別除権は、特別な先取特権や質権、抵当権を有する者が、破産手続を通さずにその権利を行使することができる権利を指します。この権利に該当する財産は破産財団から離脱し、債権者の配当資源とはならないのです。

財団の換価と配当

破産管財人は、破産財団に現金以外の資産が含まれる場合、その現金化を図るため裁判所の許可を得て任意売却を行います（破産法第78条第2項）。一部の財産が任意売却できない場合、強制執行に基づいて処分が進められます（破産法第184条第1項）。

換価の結果、破産手続にかかる費用や債権に充当しても余剰が生じた場合は、破産管財人が作成する配当表に基づいて配当が行われます（破産法第195条、196条）。この配当は最後配当の他にも中間配当などが行われることもあります。

破産手続廃止との関係

基本的に、破産財団が破産手続の費用を賄うのに不足している場合、すなわち裁判所が定める最低限の破産管財人報酬を満たさない場合、破産手続は廃止されることになります。廃止決定は、その時点に応じて同時廃止または異時廃止として扱われることがあります。

このように、破産財団は破産手続の根幹をなす重要な概念であり、破産者と債権者間の権利関係や資産の管理において、極めて重要な役割を果たします。

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