硫酸水素アンモニウム

硫酸水素アンモニウム（りゅうさんすいそアンモニウム、ammonium hydrogen sulfate）は、化学式 (NH4)HSO4 で表される化合物で、硫酸のアンモニウム塩の一種です。別名として、重硫酸アンモニウム（じゅうりゅうさんアンモニウム、ammonium bisulfate）や酸性硫酸アンモニウム（さんせいりゅうさんアンモニウム、acid ammonium sulfate）とも呼ばれています。

性質

硫酸水素アンモニウムは、水によく溶ける性質を持っていますが、アルコール、アセトン、ピリジンには溶けません。純粋な硫酸水素アンモニウムは、硫酸アンモニウムの硫酸溶液から結晶化させることで得られます。結晶は無色で斜方晶系をしています。融点は146.9℃、沸点は490℃です。水への溶解度は20℃で100g/100gと非常に高いです。また、アルカリにはわずかに溶けますが、アセトンには不溶です。

製法

硫酸アンモニウムを空気中で357℃に加熱すると粗生成物が得られます。そこから純粋な結晶を得るためには、硫酸アンモニウムの硫酸溶液から結晶化させる必要があります。

化学反応

硫酸水素アンモニウムを加熱すると、窒素、二酸化硫黄、水を放出し、亜硫酸水素アンモニウムに変化します。この反応は、高温下での分解反応の一例です。

かつての利用

かつて、硫酸水素アンモニウムの低温水溶液を電気分解することにより、過酸化水素を製造する電解法が利用されていました。しかし、現在ではアントラキノン法が主流となり、この電解法は工業的にほとんど使用されていません。

類似化合物

硫酸水素アンモニウムに関連する化合物として、以下のものがあります。

硫酸水素三アンモニウム (NH4)3H(SO4)2
硫酸三水素アンモニウム (NH4)H3(SO4)2

関連事項

* 硫酸アンモニウム (NH4)2SO4: 硫酸アンモニウムは、硫酸水素アンモニウムとは異なり、中性のアンモニウム塩です。肥料や工業用途で広く利用されています。

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