硬派銀次郎

硬派銀次郎



『硬派銀次郎』は、本宮ひろ志による日本の漫画作品。1975年から1978年にかけて『月刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された。1974年には読切版『硬派山崎銀次郎』が掲載されている。単行本はジャンプコミックスから全9巻が刊行された。

本宮ひろ志は、9巻の巻末で「銀次郎は自分の青春を重ねた大好きな作品」と語っている。また、作者の妻であるもりたじゅんも、同時期に連載された『さわやか万太郎』と共に女性キャラクターの下絵を手がけていた。


概要



物語は、東京の下町にある天茶中学に通う天涯孤独の少年、山崎銀次郎を中心に展開する。銀次郎は新聞配達で生計を立てながら、持ち前の正義感とケンカの強さで周囲のトラブルを解決していく。転校生の小沢高子との出会いが、彼の生活に変化をもたらす。第一部では、銀次郎が高子に手紙を残して去る場面で完結する。

1979年には、第二部が連載再開され、高子と結ばれるまでの過程が描かれたが、短期間で終了。このパートは単行本には未収録となっている。1980年からは、『山崎銀次郎』として『週刊少年ジャンプ』で連載が開始。銀次郎の高校時代を中心に、高子との恋愛や結婚に至るまでの詳細が描かれ、シリーズは完結した。『山崎銀次郎』はジャンプコミックスから全5巻が刊行され、最終巻には『さわやか万太郎』の番外編が収録されている。

グロービートジャパンが展開するラーメンチェーン店「豚そば 銀次郎」は、原作者公認で本作にちなんで名付けられた。2006年には、ジャパンフリトレーからスナック菓子「豚そば銀次郎スナック」も発売されている。
プロ野球選手炭谷銀仁朗の名前は、本作に由来するという逸話がある。

あらすじ



物語の主人公、山崎銀次郎は中学生にして天涯孤独の身。天茶中学の番長として、新聞配達で生活費を稼ぎながら、クラスメイトの依頼を受け、子分のコオロギや勝と共に弱い者いじめをする相手に立ち向かう日々を送っていた。

そんな中、転校生の小沢高子との出会いが、銀次郎の日常に変化をもたらす。男女問わず周囲から好かれる銀次郎は、ケンカとスポーツに明け暮れながらも、高子との関係を深めていく。


主な登場人物



山崎 銀次郎(やまざき ぎんじろう)
あだ名は「銀ちゃん」または「チビ銀」。新聞配達の疲れから授業中は居眠りが多いが、運動神経は抜群。新潟県直江津市出身で、幼い頃に家族を亡くし天涯孤独となる。額の傷がトレードマーク。正義感が強く硬派な性格だが、高子との出会いで変化していく。
小沢 高子(おざわ たかこ)
あだ名は「高ちゃん」。美貌で成績優秀な転校生。銀次郎に惹かれ、次第に打ち解けていく。医者の娘で、スタイルも抜群。銀次郎が世話をしている甥のまもるを可愛がる。
まもる
銀次郎の甥。両親の事情で一時的に銀次郎に育てられる。高子にも懐いている。
吉沢 ハナ子(よしざわ ハナこ)
あだ名は「ハナちゃん」。高子の友人であり、銀次郎の友達でもある。コオロギの恋人。
千代子(ちよこ)
高子とハナ子の友達で、銀次郎の友達。勝の恋人。
コオロギ のりお
銀次郎の友達。中学時代から銀次郎の子分的存在。
武居 勝也(たけい かつや)
あだ名は「勝」。銀次郎の友達。コオロギと共に銀次郎を支える。
聖心学院理事長
銀次郎が九州で修行した大工の棟梁の妹。銀次郎の恩人。
池田 麗子(いけだ れいこ)
理事長の娘で聖心学院の学生。当初は銀次郎を嫌っていたが、次第に惹かれていく。高子の恋のライバル。
田村 真弓(たむら まゆみ)
銀次郎が九州で大工修業をした際に世話になった棟梁の娘。銀次郎を慕っている。後にアイドルとなる。
たかし
真弓の幼馴染。真弓が銀次郎に好意を寄せていることに嫉妬し、交通事故で亡くなる。
十文字みどり(じゅうもんじ みどり)
暴力団組長の娘で、親が決めた許婚から逃れるため銀次郎に匿われる。
山井 心太郎(やまい しんたろう)
有力暴力団の若親分。銀次郎と出会い、義兄弟となる。
伊達 宗光(だて むねみつ)
独眼竜政宗の子孫と自称する転校生。高子に一目惚れし銀次郎を敵視するが、後に親友となる。
佐々 金太(ささ きんた)
暴力団組長の息子。伊達同様に転校生として銀次郎と出会い、親友となる。
井田(いだ)
暴力団組長の息子。銀次郎と対立するが、後に和解する。
真弓(まゆみ)
資産家の令嬢。銀次郎に興味を持ち、バンビの世話を依頼する。
コンガ国の王女
来日中に銀次郎に助けられ、恋心を抱く。
平田(ひらた)
銀次郎の中学時代の担任教師。スパルタ指導をするが、銀次郎と理解し合う。
奈々(なな)
天茶中学校の若い女性教師。銀次郎が初めて意識した女性。
浅井 満(あさい みつる)
天茶中学校に転校してきたプレイボーイ。銀次郎と対立する。
川辺(かわべ)
浅井に雇われたボクシング部の男。銀次郎に倒される。
大前田(おおまえだ)
二中学校の柔道部主将。銀次郎に敗れるが、後に良き理解者となる。
沢松 新吾(さわまつ しんご)
天茶中学校のテニス部員。妹の理恵と共に銀次郎を助ける。
沢松 理恵(さわまつ りえ)
天茶中学校のテニス部員。兄の新吾と共に銀次郎を助ける。
桜木 勇(さくらぎ いさむ)
名門校に通うエリート。銀次郎をバカにするが、後に敗れる。
黒柳 流一(くろやなぎ りゅういち)
桜木が通う学校のテニス部エース。銀次郎に敗れ、良き理解者となる。
田沼 力(たぬま りき)
亜理矢中学校のテニス部エース。銀次郎に敗れる。
三井 秀樹(みつい ひでき)
自称・ふくめん番長。高子の幼馴染で、銀次郎に嫉妬し対立する。
本田(ほんだ)
東葛中の番長。三井に寝返り、銀次郎と対立する。
望月(もちづき)
城東高の番長。聖心学院に因縁をつけ、銀次郎と対立する。
ヨーコ&マー坊
海岸付近に住む幼い兄妹。銀次郎に助けられる。
岩倉(いわくら)
傾成高の陸上部主将。卑劣な手段で聖心学院を妨害する。
佐々木(ささき)
暴力団会長。銀次郎と対立する。
松本 幸之助(まつもと こうのすけ)
大手電機メーカー会長。銀次郎の過去に関わる人物。
高子の両親
娘を温かく見守る。銀次郎を認めている。
タカハシ ヨシヒロ
銀次郎の長屋の隣人。ヘタレキャラ。
バンビ
真弓の飼い犬だったセントバーナード。銀次郎に鍛えられ、勇敢になる。銀次郎の相棒。

アニメ版



1991年にOVAが全3巻で発売された。

キャスト

山崎銀次郎 - 山口勝平
小沢高子 - 伊藤美紀

スタッフ

監督 - 石黒光一
脚本 - 水出弘一

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