碁泥

碁泥（ごどろ）について

碁泥は、日本の伝統的な落語の一つであり、特に囲碁を題材にした内容が特徴的です。上方ではこの演目は「碁打盗人」とも呼ばれ、落語の中でも人気のあるテーマとして親しまれています。特に東京でよく演じられ、3代目柳家小さんが、大阪の4代目桂文吾に教わってから東京に持ち込んだ演目です。

あらすじ

物語は、囲碁を愛する二人の男の間で繰り広げられます。いつものように碁を打つために一人がもう一人の家を訪れると、事情があって碁をすることができないと告げられます。実は、二人が碁を楽しみながら煙草を吸うことが原因で、畳に多くの焼け焦げを作り、妻が心配して「囲碁はやめてほしい」と言ったからです。

どうしても碁を打ちたい男たちは別室で煙草を吸うことを決め、意気揚々と碁を始めます。しかし、碁の面白さに夢中になるあまり、最初の約束を忘れてしまい、妻に「煙草を持ってきて」と命じます。妻はその要求に応じ、煙草ではなく紅生姜を持ってきますが、二人はそのことに気づかず、棋戦に没頭しています。

その間に、妻は女中と共に湯屋に出かけてしまいます。すると突然現れたのは、碁をこよなく愛する泥棒です。彼は盗んだ品物を風呂敷に包んで出ようとしますが、碁石を打つ音に惹かれて二人に近づきます。そして、ついつい助言を始めてしまいます。二人は知らない男が大きな荷物を背負っていることに気がつきますが、依然として碁に夢中で、「大きな荷物だなっと」と言いながら、パチリと碁を打つ音を響かせます。

その後、泥棒も自分のことを「泥棒です」と自己紹介しますが、二人はこの出会いを楽しむ様子が描かれます。「ようこそいらっしゃいました」と言いながら、ユーモア溢れるやりとりが続くのです。

演者の特徴

この演目は、時代を超えた魅力を持ち、5代目柳家小さんや6代目春風亭柳橋など、多くの名人たちによって演じられてきました。特に柳橋の演じる「よくいらっしゃったねえ」というフレーズの後には、観客を引きつけるサゲがあり、「お景気はいかがですか？」と続くことで、聴衆との一体感を生み出します。

碁泥は、単なるコメディを超え、囲碁の奥深さや人間関係の面白さをも描写しているため、落語ファンにとっては欠かせない名演目として高い評価を受けています。

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