碧南一家

碧南一家

愛知県碧南市が発行している広報誌『広報へきなん』に、毎月1日号で掲載されている4コマ漫画作品です。この作品は、作者の交代を経ながらも、現在に至るまで非常に長い期間、連載が続けられています。

黎明期と長期連載の達成

「碧南一家」は、漫画家の加藤まさみ氏の手によって生み出され、1967年2月1日号から『広報へきなん』での掲載が始まりました。加藤氏はその後、2017年9月1日号まで、実に50年7か月の長きにわたり、通算952回にわたってこの作品を描き続けました。

この驚異的な連載期間は、日本の漫画史において特筆すべき記録を打ち立てました。連載開始からちょうど50年を迎えた2017年2月1日号の掲載時には、「碧南一家」がその時点で日本国内で連載されていた全ての漫画作品の中で、最も長い連載期間を持つ作品として大きく取り上げられました。

長期連載で知られる他の漫画作品と比較しても、その歴史の長さが際立ちます。例えば、東海林さだお氏による『タンマ君』は1968年1月から、さいとう・たかを氏の代表作『ゴルゴ13』は1968年11月から連載がスタートしていますが、「碧南一家」の連載開始は、これら著名な作品よりもわずかに早い時期でした。

また、2017年2月時点での50年1か月という連載期間は、日本の漫画全体の歴史を通じても非常に長いものでした。小島功氏の『仙人部落』（57年11か月）や、みつはしちかこ氏の『小さな恋のものがたり』（52年4か月）といった歴史的な超長期連載作品に次ぐ、歴代3番目の長さを誇る記録でした。

作者の交代と新たな展開

しかし、残念ながら、長年「碧南一家」を描き続けてきた作者の加藤まさみ氏が、2017年8月21日に逝去されました。これに伴い、2017年9月1日号をもって、加藤氏による連載は惜しまれながらも一旦の区切りを迎えました。

作品の存続が危ぶまれる状況となりましたが、この市民に親しまれた漫画の火を絶やさないため、新たな担い手が現れました。作品が生まれた地でもある碧南市出身の漫画家、村瀬範行氏が「碧南一家」の精神を引き継ぎ、2018年1月1日号から再び連載が再開されました。

村瀬氏による継承後も、「碧南一家」は『広報へきなん』に掲載され続けています。そして、加藤氏による期間と村瀬氏による期間を合わせた通算の連載期間は、現在、日本国内で連載が続いている全ての漫画作品の中で、最も長い記録となっています。

「碧南一家」は、碧南市の歴史と共に歩み、市民の生活に寄り添う、類稀なる長寿漫画として、今後もその歴史を刻んでいくことでしょう。

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