確認代願

建築確認申請における代願申請：その実態と問題点

建築確認申請において、「確認代願」または「確認申請代願」と呼ばれる業務があります。これは、建築確認申請に必要な書類や設計図書の作成を専門業者に委託する行為です。業界内では簡潔に「代願」と呼ばれますが、法令で明確に定義された用語ではありません。しかしながら、建築設計事務所の業務報告書において「代願」が業務区分として挙げられるなど、その存在は広く認知されています。

確認代願は、設計者や工事監理者が不在の建築現場において、欠陥住宅発生の一因となる深刻な問題を抱えています。特に、簡略化された審査基準が適用される4号建築物では、構造上の検討が不十分なまま確認申請が許可されるケースがあり、代願申請がそのリスクをさらに高める要因となっています。

代願申請の仕組みと問題点

建築確認申請は、設計と工事監理に責任を持つ建築士の選任が前提となっています。しかし、資格を持たない者、あるいは建築士事務所を開設していない者が設計を行い、そのままでは確認申請ができない場合、別の建築士が形式上設計者として申請を行うのが代願申請です。この場合、実際には設計能力のない者が設計に関与している可能性があり、設計図書の正確性や安全性に問題が生じるリスクが高まります。

日本の建築確認申請の審査期間は、通常35日以内（小規模建築物は7日以内）ですが、代願申請では、この期間内に適切な審査が行われない可能性があります。結果として、設計図書の不備や施工上の欠陥が見過ごされ、欠陥住宅が完成してしまうケースにつながることが懸念されます。

ニューヨーク市の建築確認申請との比較

ニューヨーク市では、エキスペダイターと呼ばれる申請代行業者が存在します。彼らは建築基準法や申請手続きに精通しており、迅速な申請処理を支援します。また、Professional Certification Program101という制度では、建築家やエンジニアが自ら審査・申請を行うことができ、審査時間の短縮が期待できます。ただし、監査対象となるリスクや是正費用負担の可能性も存在します。ニューヨーク市の建築確認申請情報は、DOB（Department of Buildings）のウェブサイト上のBIS（Buildings Information System）で公開されており、透明性が高いと言えるでしょう。

工事監理者の責任

建築確認申請には工事監理者の氏名記載が義務付けられていますが、過去には代願業者が実際には監理を行わないまま氏名のみを記載するケースがありました。しかし、このような行為は、確認申請と異なる建物が建設されたり、欠陥住宅が発生した場合、工事監理者としての責任追及の対象となることが判例で明確になっています。

問題のない代願申請

全ての代願申請が問題となるわけではありません。例えば、有資格者で能力のある設計者が設計を行い、その設計者本人の承諾を得て、別の建築士が代理として申請手続きを行うケースがあります。これは、設計者本人が遠隔地にある建築現場に対応できない場合や、ハウスメーカーが多数の建築現場を管理する必要がある場合などに有効です。この場合、手続きの代理を行う建築士は、申請書類の代理者欄に氏名を記載します。

手続きの委託理由は、役所に何度も出向く労力の軽減、地元役所の慣習への対応、担当者との関係構築など多岐に渡ります。これは法的に認められた行為であり、設計者本人が設計内容の責任を負うため、問題となることは稀です。理論上は行政書士も手続きの代理を行うことができますが、建築関連法規に精通した建築士のほうが手続きがスムーズに進められるため、実際には行政書士が代理となるケースは少ないと言えます。

まとめ

確認代願は、建築業界における複雑な問題です。欠陥住宅問題との関連性も指摘されており、その実態把握と適切な規制の必要性が改めて問われています。一方で、正当な理由に基づく代行業務も存在するため、問題のある行為とそうでない行為を明確に区別し、適切な運用が求められます。

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