祝 (リンゴ)

祝（いわい）

「祝」（いわい、英: American Summer Pearmain）は、リンゴの栽培品種の一つで、早生系に分類されます。この品種は、アメリカ合衆国が原産であり、古い歴史を持っています。

特徴

「祝」は、耐寒性を持つ一方で、温暖な気候を好む性質があります。しかし、樹勢は弱く、火傷病にかかりやすいという弱点も抱えています。自家不和合性に関わるS遺伝子型はS1S20です。

収穫時期は早く、日本では8月上旬から下旬にかけて収穫されます。果実は長円形で、150–200グラムほどのやや小ぶりなサイズです。果皮は黄緑色をしていますが、熟すと赤褐色の縞模様が現れます。芳香があり、果肉は黄色で柔らかく、甘さと酸味が調和した味わいが特徴です。しかし、長期保存には向いておらず、軟化しやすい性質があります。

歴史

「祝」は、18世紀後期には北米東部に存在していたと考えられています。ニュージャージー州が原産地である可能性が高いとされています。1817年の文献には本品種と考えられる記述が見られ、1851年には品種名が記録されています。

日本へは、1875年（明治8年）に内務省から配布された苗木が青森県で試作され、大導寺繁禎の果樹園で初めて結実しました。明治時代には、‘旭’（マッキントッシュ）と並ぶ早生品種として広く栽培されました。しかし、隔年結果性や早期落果性の傾向が強かったため、次第に栽培されなくなりました。

青森県つがる市には、1878年に植栽された日本最古の「祝」の木が現存しており、「日本一の古木りんご樹」として1960年に青森県の天然記念物に指定されました。

名称

「祝」は、英語では、‘American Pearmain’、‘American Summer’、‘Early Summer Pearmain’、‘Summer Pippin’、‘Watkin's Early’、‘Summer Pearmain’、‘American Pippin’など、さまざまな名前で呼ばれています。

日本に導入された当初は、「大導寺中生」、「大導寺中手」、「大中」、「江間中手」、「成子」など、地域によって異なる名前で呼ばれていましたが、1900年（明治33年）に「祝」に統一されました。

派生品種

「祝」を交配親とする品種も存在します。‘北の幸’は種子親を‘つがる’、花粉親を‘祝’とし、‘花祝’は種子親を‘花嫁’、花粉親を‘祝’としています。

関連項目

大道寺氏

脚注

出典

“祝（いわい）・大中（だいなか）”. りんご大学. 2024年10月26日閲覧。
* “American Summer Pearmain”. Pomiferous. Pomiferous.com.. 2024年10月26日閲覧。

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