祝杯の蠍団 リターン・トゥ・フォエヴァー

祝杯の蠍団 リターン・トゥ・フォエヴァー

『祝杯の蠍団 リターン・トゥ・フォエヴァー』（Return To Forever、邦題の読み：しゅくはいのさそりだん）は、長年にわたり世界のハードロックシーンを牽引してきたドイツのベテランバンド、スコーピオンズが2015年に世に送り出したスタジオ・アルバムです。

この作品は、バンドが1965年の結成から数えて半世紀という、偉大なキャリアにおける節目を盛大に祝う記念碑として制作されました。アルバムのリリース自体が、彼らが歩んできた長い道のりと、なお衰えぬ音楽への情熱を示すものでした。

アルバムの収録曲は、主に二つの要素で構成されています。一つは、バンドが過去に制作しながらも様々な理由でお蔵入りとなり、発表されることのなかったデモ音源を掘り起こし、現代の技術と感性で新たにアレンジを施して完成させた「リ・ワーク・トラック」です。これらの楽曲は、バンドの初期や中期のアイデアが、21世紀のサウンドとして蘇ったものであり、往年のファンにとっては懐かしさと新鮮さが同居する聴きどころとなっています。もう一つは、この記念すべきアルバムのために新たに書き下ろされた「新曲」です。これにより、単なる過去の回顧に留まらず、バンドの「今」の創造性とエネルギーが作品に吹き込まれています。新旧の楽曲が組み合わされることで、スコーピオンズの音楽性の幅広さと変遷、そして普遍的な魅力を感じ取ることができます。

アルバム制作にあたって、中心的な役割を担った当時のバンドメンバーは以下の通りです。

クラウス・マイネ (Klaus Meine): リード・ヴォーカル、バッキング・ヴォーカルを担当し、楽曲に深みと感情豊かな表現を与えています。
ルドルフ・シェンカー (Rudolf Schenker): リズム・ギターとリード・ギター、バッキング・ヴォーカルを務め、バンドサウンドの骨格を形成しています。
マティアス・ヤプス (Matthias Jabs): リード・ギター、リズム・ギター、アコースティック・ギターを担当し、印象的なソロプレイやフレーズを奏でています。
パヴェル・マチヴォダ (Pawel Maciwoda): ベースを担当し、楽曲に力強いリズムとグルーヴをもたらしています。
* ジェイムズ・コタック (James Kottak): ドラムスとバッキング・ヴォーカルを務め、バンドのダイナミズムを支えています。

また、本作のサウンドメイキングには、外部の優れた才能も関わっています。プロデューサー、エンジニア、ミキシングは、ミカエル・ノルド・アンダーソン (Mikael Nord Andersson) とマーティン・ハンセン (Martin Hansen) が共同で担当しました。彼らの手腕により、過去のデモ音源が現代のリスナーにも響くクリアでパワフルなサウンドへと磨き上げられています。

『祝杯の蠍団 リターン・トゥ・フォエヴァー』は、長年にわたるバンドの歴史を称えつつ、同時に現在の彼らの活動意欲を示すアルバムであり、ファンにとってバンドの過去と現在をつなぐ重要な作品と言えるでしょう。

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