神の国解散

神の国解散

神の国解散（かみのくにかいさん）は、2000年6月2日に実施された衆議院の解散を指します。この解散は、森喜朗内閣に対する不信任の動きや、選挙戦略が複雑に絡んだことで注目を集めました。

概要

森喜朗は、小渕恵三前首相の急病による緊急事態を受け、2000年4月5日に自民党総裁として首相に就任しました。しかし、彼の就任直後から、選出手続きに関する批判が高まり、特に「密室政治」との指摘が自民党内外から寄せられました。森内閣が発足した時点で、衆議院議員の任期は残り6ヶ月であり、年内に解散総選挙を行うことは既定路線とされたのです。

解散の背景

森内閣の立ち上がりと同時に、旧小渕派の重鎮である野中広務と青木幹雄は、解散時期について「小渕前首相への同情票が望めるうちに」と早期解散を提案しました。森首相は、旧小渕派との関係を重視することから、解散の日程について彼らの意向に従うことになりました。

5月1日、森首相はローマでの記者会見において、6月25日投票の流れを認めました。この時、参議院補欠選挙も同じ日に行われることが決定します。そして、5月13日には、森首相が政治日程を認める形で発言をしましたが、内閣支持率は急落し、反森の声が自民党内から上がるようになりました。

神の国発言

特に注目を集めたのは、5月15日に行われた「神の国発言」です。この発言により、森首相は政教分離原則に反するとの批判を受け、内閣の支持率はさらに低下します。支持率の低迷により、森内閣内部には「今の支持率では解散は無謀だ」という懸念が広がり、党内の意見対立が激化しました。

森首相はこの状況を打開すべく、経済対策の検討を始めますが、6月2日、野党から不信任決議案が提出されると、彼はこの決議案が議題に上る直前に衆議院を解散しました。この動きは、失敗続きの森政権が自らの存続を図るための措置とも受け取られました。

解散後の影響

解散の呼称には「神の国解散」という名称が広く使われましたが、他にも「日本新生解散」、「ミレニアム解散」など、様々な呼び名が提唱されました。解散後に行われた第42回衆議院議員総選挙は、自民党にとって苦戦が続き、都市部での議席を失う結果となりました。

この選挙は、小選挙区比例代表並立制で行われ、国民の支持が重要視されるようになったことが後の政治動向に影響を及ぼしました。特に、首相選出においても、派閥の調整だけでなく、国民の支持が強く意識されるようになり、その後の政治風土に変化を与えることとなりました。

結論

神の国解散は、森喜朗内閣の信任問題や選挙戦略が絡みあった重要な出来事として位置づけられるでしょう。この解散は、その後の選挙結果や政治の動向に影響を及ぼしただけでなく、日本の政治における派閥と国民の意向のバランスについても再考を促す契機となりました。

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