神保町映画祭

神保町映画祭

東京都千代田区の神田神保町で開催される「神保町映画祭（じんぼうちょうえいがさい）」は、インディペンデント映画に焦点を当てた地域密着型の映画祭です。英称はJimbocho Movie Festival、略称はJMFとして知られています。

開催の歴史と目的

本映画祭は、2014年に短編映画の上映イベントとしてその歩みを始め、翌2015年に正式な第1回映画祭として開催されました。それ以来、毎年継続して実施されています。

開催の主な目的は二つ。一つは、千代田区神田エリアの地域活性化に貢献すること。もう一つは、インディペンデント映画の普及と振興を図ることです。かつて多くの映画館が軒を連ね、「映画館の街」として栄えた神保町は、現在ではミニシアターが中心となっています。学生街や本の街としても親しまれるこの地域で、映画祭は、映画上映を通して神田ならではの歴史と文化が息づく街の魅力を再発見させるとともに、インディペンデント映画を愛好する新たなファン層を開拓することを目指しています。この活動を通じて、多様な作品が上映されるミニシアターの街へと変貌した神保町に、新たな映画文化の波を起こすことを期しています。

主な活動内容

神保町映画祭では、毎年恒例のコンペティションを核に、様々な活動を展開しています。コンペティションは2018年より「東京神田ファンタスティックフィルムコンペティション」と名称を改め、作品募集におけるテーマを撤廃しました。これにより、新旧やジャンルを問わず、幅広い映画・映像作品の公募を行っています。

特徴的な取り組みの一つに「まちのひと審査会」があります。これは、一般の観客が参加できる上映会兼観客投票会形式の審査方法で、実際に会場を訪れた観客からの投票結果がグランプリ選考に反映される仕組みです。作り手だけでなく、観客も映画祭の一部として参加できる点が大きな特色と言えます。

また、次世代の映像制作者を育成し、上映の機会を広げるため、2019年にはU-18部門を新設しました。これは若い才能の発掘と支援を目的としています。

コンペティション以外にも、映画・映像を通じた文化教育活動にも力を入れています。地域住民向けの無料上映会を実施したり、教育機関と連携してメディアリテラシーに関するワークショップを開催するなど、映画を学び、楽しむ機会を提供しています。

さらに、国内外の映画祭との連携も積極的に行っています。ドイツのハンブルク日本映画祭や、アメリカのブルックリンサイファイフィルム映画祭、国内の広島こわい映画祭など、複数の映画祭と提携を結び、日本の優れたインディペンデント映画作品を海外や国内の異なる地域に紹介する橋渡し役も担っています。

過去の主な受賞作品（抜粋）

これまでの映画祭では、多くの優れた作品が表彰されてきました。代表的なものをいくつかご紹介します。

第1回（2015年）グランプリ：『あかべこ』監督：高橋秀綱
第2回（2016年）グランプリ：『ミュージカル/MY☆ROAD MOVIE～チャリンコで自分探しの旅～』監督：角川裕明
第3回（2017年）特別審査委員会賞：『嘘をついて』監督：三ツ橋勇二／まちのひと審査会賞：『ぶきっちょ』監督：遠藤健一／学生審査会賞：『春みたいだ』監督：シガヤダイスケ
第4回（2018年）グランプリ：『三つの朝』監督：根岸里紗
第5回（2019年）グランプリ：『夏の夜の花』監督：高橋伸彰
第6回（2020年）グランプリ：『はちみつレモネード』監督：梅木佳子

関連団体

神保町映画祭は、以下の団体からの後援や協力を得て運営されています。

後援： 千代田区、千代田区商工業連合会 など
協力： 神田古書店連盟、神保町応援隊、書泉グランデ など

神保町映画祭は、地域文化と映画芸術が融合するユニークなイベントとして、神田神保町を舞台に新たな映画の可能性を追求し続けています。

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