神坂次郎

神坂次郎（こうさか じろう、1927年3月2日 - 2022年9月6日）は、日本の小説家。本名は中西久夫。

和歌山県和歌山市に生まれ、陸軍航空学校に入校。鹿児島県知覧飛行場を経て愛知県小牧飛行場にて終戦を迎えた。終戦時には、軍の重要書類を処分する任務にあたり、その際に涙が止まらなかったという。

戦後、故郷に戻り土木技師として勤務した後、演劇関係の仕事に携わる中で作家の長谷川伸と出会い、時代小説を書き始めた。1982年に『黒潮の岸辺』で日本文芸大賞を受賞。1984年には『元禄御畳奉行の日記』がベストセラーとなり、1987年には『縛られた巨人 南方熊楠の生涯』で大衆文学研究賞（評伝部門）を受賞。2002年には南方熊楠賞、2003年には長谷川伸賞を受賞するなど、数々の賞を受賞した。

1992年には、皇太子徳仁親王の熊野行啓の際に、自著『熊野御幸』について2時間半にわたり進講を行った。自身の特攻隊員としての経験や、地元和歌山の偉人を題材にした作品を多く著した。

2022年9月6日、老衰のため和歌山市にて95歳で死去。

主な著書には、『かれいの砦』、『空を駆ける盗賊』、『黒潮のろまん』、『草書本猿飛佐助』、『金谷上人行状記』、『男いっぴき物語 南海色豪伝』、『紀州史散策』、『熊野路』、『おかしな侍たち』、『鬼打ち猿丸』、『花咲ける武士道』、『元禄御畳奉行の日記』、『今日われ生きてあり』、『縛られた巨人 南方熊楠の生涯』、『だまってすわれば 観相師・水野南北一代』、『天鼓鳴りやまず 北畠道竜の生涯』、『走れ乗合馬車（オムンボス） 由良守応の生涯』、『熊野御幸』、『海の伽耶琴 雑賀鉄砲衆がゆく』、『兵庫頭の叛乱』、『天馬の歌 ウォラートゥス松下幸之助』、『特攻隊員の命の声が聞こえる 戦争、人生、そしてわが祖国』、『波瀾万丈』、『海の稲妻 根来・種子島衆がゆく』、『猫男爵 バロン・キャット』、『特攻-還らざる若者たちへの鎮魂歌』、『漂民ダンケッチの生涯』などがある。

また、『紀州の方言』や『紀州いろは』などの編著・共著も手掛けた。

神坂次郎は、時代小説を中心に、歴史上の人物や出来事を題材にした作品を数多く発表し、その独特な視点と語り口で多くの読者を魅了した。特に、南方熊楠を題材にした作品は、彼の代表作として知られている。


神坂の作品は、単なる歴史小説にとどまらず、人間の生き方や社会のあり方を深く問いかけるものであり、その文学的価値は高く評価されている。また、自身の戦争体験に基づいた作品は、戦争の悲惨さや平和の尊さを訴えかけるものであり、多くの人々に感動を与えている。



神坂は、時代小説・歴史小説作家として、幅広い分野で活躍し、多くの文学賞を受賞。その功績は、日本の文学史に大きく刻まれている。特に、和歌山県を舞台にした作品が多く、地域文化の発展にも貢献した。また、特攻隊員としての経験を基にした作品は、戦争の悲惨さを後世に伝える重要な役割を果たしている。

神坂次郎は、小説家としてだけでなく、故郷和歌山を愛し、その歴史と文化を広く伝えた人物として、多くの人々に記憶されるだろう。

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