神大根王

神大根王について

神大根王（かむおおねのみこ）は、古墳時代に生きたとされる歴史的な人物で、本巣国造（三野前国造・美濃国造）の初代です。彼の生没年は不詳ですが、その存在は古代文献において多くの記録が残されています。特に『古事記』では、神大根王は八瓜入日子王（やつりのいりひこのみこ）とも呼ばれ、開化天皇に仕えた重要なキャラクターとして描かれています。

文献における記録

『開化天皇記』によれば、神大根王は三野国之本巣国造および長幡部連の祖とされ、また景行天皇記では、彼が美濃国造の始まりであると記されています。『日本書紀』においても同様の内容が伝えられており、歴史的文献から彼の存在がいかに重要であったかが理解できます。興味深いことに、『先代旧事本紀』の「国造本紀」では八瓜命が開化朝において三野前国造に定められたとの記述があり、これにより三野国之本巣国造と三野前国造は同一のものであるとの見解が広がっています。また、神大根王の名前の由来は「鴨の大根」とされている説もあり、地域に根ざした文化との関連が考えられます。

墓所と神社

神大根王に関連する遺跡として、岐阜県本巣市にある宗慶大塚古墳が注目されています。この古墳は神大根王またはその子孫のものとされ、その築造は古墳時代前期（約4世紀）にさかのぼるとされます。この古墳は古くから「王塚古墳」とも呼ばれ、地元の人々に尊敬されています。

また、神大根王は高坂神社や伊波乃西神社で祀られているほか、多くの神社においても創祀の伝承に登場します。加毛神社では、鴨君彦坐王の子である神大根王が美濃国造となり、その子孫が西南濃地方で栄えたことが伝えられています。これにより、開拓者たちは鴨氏の祖神である神別雷命を奉斎するようになったとされています。

系譜の考察

神大根王の系譜については、父が開化天皇の皇子である日子坐王、母が天御影命の娘である息長水依比売とされています。同母兄妹として知られているのは安国造の祖・水穂真若王や水穂五百依比売、御井津比売です。しかし、系譜に関する記述には矛盾が見られ、『国造本紀』によると神大根王が開化朝に国造に任じられたとされる一方で、『古事記』の系譜とは時代に齟齬が生じています。

総括

このように、神大根王が持つ歴史的意義は多面的であり、彼に関わる伝承は地域社会において重要な役割を果たしてきました。彼の物語は、日本の古代史における貴重な一面を映し出し、今後も研究が進むべき興味深いテーマであります。

もう一度検索