神奈川県の貝塚の一覧

神奈川県の貝塚について

神奈川県には、数多くの貝塚が点在しています。神奈川県立歴史博物館の調査によれば、その数は292ヶ所にも及ぶとのことです。これらの貝塚は、縄文時代の人々の生活や文化を今に伝える貴重な遺跡であり、当時の食生活や自然環境を知る手がかりとなります。

貝塚の分布

神奈川県の貝塚は、特に川崎市と横浜市に集中していますが、三浦半島や湘南・西湘地域にも広く分布しています。これは、これらの地域が縄文時代において、人々が生活しやすい環境であったことを示唆しています。貝塚の分布を調べることで、当時の人々の移動や交流範囲を知ることも可能です。

貝塚からわかること

貝塚からは、当時の人々が食べていた貝の種類や、その他の食料、使用していた道具など、様々な情報が得られます。また、貝塚の地層を分析することで、当時の気候変動や環境変化を知ることもできます。これらの情報は、縄文時代の人々の生活を復元するために不可欠です。

縄文時代の各時期と貝塚

貝塚を理解する上で、縄文時代の各時期の土器様式を知ることは重要です。以下に、主な縄文時代の土器様式と、その年代を示します。

縄文早期
夏島式
稲荷台式
平坂式
田戸下層式
田戸上層式
子母口式
野島式
鵜ヶ島台式
茅山下層式
茅山上層式
下吉井式
神之木台式
縄文前期
花積下層式期: およそ7000-6700年前
関山式期: およそ6700-6450年前
黒浜式期: 6450-6050年前
諸磯式期: 6050-5600年前
諸磯a式期: 6050-5950年前
諸磯b式期: 5950-5750年前
諸磯c式期: 5750-5600年前
縄文中期
十三菩提式期: 5600-5470年前
五領ヶ台式期: 5470-5380年前
勝坂式期: 5380-4900年前
加曾利E式期: 4900-4420年前
阿玉台式: 勝坂式とほぼ同時代
縄文後期
称名寺式期: 4420-4240年前
堀之内式期: 4240-3820年前
加曾利B式期: 3820-3470年前
曽谷式期: 3470-3400年前
安行1,2式期: 3400-3220年前
縄文晩期
安行3式期: 3220年前

これらの土器様式が出土する貝塚を調べることで、その貝塚がどの時期に形成されたのかを推定することができます。また、貝塚から出土する貝の種類によって、当時の海水や汽水の状況を推測することも可能です。

貝の種類と環境

貝塚から出土する貝の種類は、当時の環境を知る上で重要な情報となります。例えば、ハマグリなどの海産の貝が多く出土する貝塚は、純鹹または主鹹の環境であったと考えられます。一方、ヤマトシジミなどの汽水産の貝が多く出土する貝塚は、河口付近の環境であったと考えられます。また、マシジミなど淡水産の貝を主体とする貝塚も存在します。

まとめ

神奈川県の貝塚は、縄文時代の人々の生活や文化を今に伝える貴重な遺跡です。貝塚の分布や出土する遺物、貝の種類などを分析することで、当時の人々の生活や環境をより深く理解することができます。これらの知識は、考古学の研究だけでなく、地域の歴史や文化を学ぶ上でも重要な役割を果たします。

参考文献

神奈川県立歴史博物館 編集 編『神奈川県貝塚地名表』神奈川県立歴史博物館発行、2008年。
* 小林謙一「縄文土器の年代(東日本)」『総覧 縄文土器』小林達雄 編、アム・プロモーション、2008年。

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