神奈川県立津久井湖城山公園

津久井湖城山公園

神奈川県相模原市緑区に位置する「津久井湖城山公園（つくいこしろやまこうえん）」は、神奈川県が管理する広域都市公園です。この公園は、治水施設である城山ダムの左右両岸エリアと、かつて戦国時代に存在した山城、津久井城の城跡を含む広大な敷地を一体的に整備したものです。

公園の概要

公園の整備にあたっては、歴史的な遺構である津久井城跡と、周辺に広がる豊かな自然環境の保全・継承に力が注がれています。訪れる人々が自然や歴史に親しみながら学び、共に育む場となることを目指し、現在も整備が進められています。公園は大きく二つの主要な区域に分かれています。一つは城山ダムに隣接する「水と憩いの区域（水といこいのゾーン）」、もう一つは城山の大部分を占める「歴史と里山の体験区域（歴史と里山の体験ゾーン）」です。公園全体の整備テーマは「自然と歴史のふれあいフロント」と掲げられています。

公園づくりの基本方針としては、津久井城址や城山ダムなど、地域の固有資源を最大限に活用すること、自然環境と歴史遺構の保全・活用のバランスを考慮すること、豊かな自然の中での多様な活動を通じて憩いや安らぎを提供すること、公園づくりへの参加を促す仕組みを展開すること、そして周辺のレクリエーション施設との連携により地域一体となった公園運営を行うことが挙げられています。

公園の計画面積は111.0ヘクタールに及び、令和2年4月1日現在の開園面積は95.0ヘクタールとなっています。

各エリアの紹介

公園内の各エリアは、それぞれ異なる特色を持っています。

水と憩いの区域
水の苑地：城山ダムの左岸側に位置し、水辺の景観をテーマに整備されたエリアです。中央には噴水や滝が配され、その周囲に広場や大型花壇が広がります。後述の花の苑地と合わせて「三工区の桜」として知られる桜の名所でもあります。階段状の大型花壇や、津久井湖を望む湖畔テラス、円形の芝生広場などがあります。カスケードや池、滝は相模川をイメージして作られた水の流れですが、水遊びは禁止されています。
花の苑地：城山ダムの右岸側に位置し、一年を通じて様々な花々が彩るエリアです。こちらも水の苑地と共に「三工区の桜」として桜の名所として親しまれています。隣接して津久井湖観光センターがあります。テラス状の花壇には四季折々の草花が植えられており、城山北斜面には桜が植栽された「桜の小道」が整備されています。
歴史と里山の体験区域
太井地区：根小屋地区と花の苑地を結ぶ「湖畔展望園路」が整備されています。
根小屋地区：城山の南麓に広がる、公園運営の中心拠点です。管理事務所と展示施設を兼ねたパークセンターが設置されており、展示室では城山の歴史、自然、人と城山の関わりについて学ぶことができます。研修やイベントに利用できる研修棟もあり、通常時は休憩所として開放されています。約2キロメートルに及ぶバリアフリー対応の周遊路は、どなたでも安心して散策を楽しめます。大型の滑り台や複合遊具が置かれた四季の広場、木製の野外ステージ、約4,000平米の広さを誇りボール遊びや凧揚げも可能な草地広場「おやしき広場」、丹沢の山々を望む展望広場などがあります。
荒久地区：一部が未開園のエリアです。荒久登山道が根小屋地区へと続いています。
小倉地区：こちらも一部未開園のエリアです。小倉登山道が津久井城址・城山地区へと続いています。
* 津久井城址・城山地区：山頂部を含む城山の大部分を占めるエリアです。歴史的な津久井城跡として、また自然豊かな山として散策が楽しめますが、一部の登山道には急勾配で注意が必要な箇所があります。標高375メートルの城山山頂にはベンチやトイレが設置されています。江戸時代後期に建てられ、津久井城築城の由来などが記された相模原市指定有形文化財「築井古城記碑」や、西峰にある飯縄神社、関東平野方面の展望が開ける鷹射場などがあります。また、幕末期に植林されたヒノキの林「江川ヒノキ林」は、「城山御林の江川ヒノキ」として相模原市登録天然記念物であり、「かながわの美林50選」にも選ばれています。

公園では、季節に合わせたクラフト体験などのイベントも開催されることがあります。

公園の歴史

津久井湖城山公園の整備は、1986年の「第二次新神奈川計画」において新規県立公園の整備が重点施策として位置付けられたことに始まります。候補地選定調査を経て、1992年に整備基本構想、1993年に整備基本計画が策定されました。1993年には都市計画決定が行われ、右岸が都市計画公園、左岸が都市計画緑地として指定されました。

公園の開園は段階的に進められました。1999年4月に水の苑地と花の苑地の一部が開園したのを皮切りに、2000年、2003年、2004年と順次開園エリアが拡大。2006年4月には根小屋地区のパークセンターが開館し、同時に指定管理者制度が導入されました。その後も登山道や各地区の一部が順次開園し、2010年7月、2015年4月、2020年4月と津久井城址・城山地区などの開園が進み、現在の開園面積に至っています。

アクセス・駐車場

公園へは、公共交通機関または車でアクセス可能です。公共交通機関の場合、JR・京王線橋本駅からバスを利用し、各エリア最寄りのバス停で下車します。車でのアクセスも良好で、国道や圏央道を利用できます。

公園内には複数の無料駐車場が整備されています。利用時間は通常8:00から19:00までで、時間になると閉門します。根小屋駐車場、花の苑地第1・第2駐車場、水の苑地駐車場があり、それぞれ普通車、大型車、障がい者用の駐車スペースが設けられています。

年間を通じて無料で利用できるため、気軽に訪れることができます。

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