神奈川県立生田高等学校

概説

神奈川県立生田高等学校は、1969年（昭和44年）に神奈川県川崎市多摩区にて設立された公立の高等学校です。多摩丘陵の緑豊かな一角に位置しており、学校の周囲には生田緑地や川崎北部市場が広がっています。最寄り駅は小田急線生田駅で、交通アクセスにも恵まれた立地です。近隣には神奈川県立百合丘高等学校があり、地域との関わりも深い学校として知られています。かつては全日制普通科内に自然科学コースが設置されていましたが、2016年度をもって廃止され、現在は普通科のみとなっています。

校風と教育

本校の創立以来の精神は、初代校長によって掲げられた「自由と規律」です。この精神は単に放縦な自由を指すのではなく、学校という共同体の中で他者の自由を尊重しつつ、自らを律することを意味しています。この理念が生田高校の校風として現在まで脈々と受け継がれています。

教育においては、以下の三つの柱を基本方針として掲げています。
1. 心身ともに健康で、個々の才能を伸ばす努力をする人間の育成。
2. 真理を愛し、自主性を重んじ、文化の創造に貢献する人間の育成。
3. 責任感を持ち、互いを尊重し合い、民主的な社会の発展に協力する人間の育成。

近年では、時代のニーズに応じた教育改革にも積極的に取り組んでいます。平成28年度から令和3年度にかけては、神奈川県教育委員会から「ICT利活用教育推進モデル校」および「ICT利活用教育推進スーパースクール」の指定を受け、タブレット端末やプロジェクターといった設備を導入し、先進的なICT教育を推進してきました。令和4年度からは「理数教育推進校」としても認定されており、理系・文系を問わず科学的な思考力を養う教育に力を入れています。また、明治大学との高大連携プログラムも実施しており、主に1年生を対象に同大学の理工学部や農学部による特別授業を受ける機会が設けられています。

沿革

生田高校は1969年、学園紛争中の神奈川県立川崎高等学校の一部を仮校舎として開校しました。当時の第1学年は4クラス編成でした。翌1970年には、川崎高校内の仮校舎から現在の生田新校舎へ移転し、第1学年が8クラス編成に拡大されるとともに本館（A棟）が完成しました。その後、1971年にはB棟、体育館、柔剣道場、プールが完成し、校歌も制定されています。1973年に5周年記念式典、1979年に10周年記念式典（この際に食堂も完成）、1989年に20周年、1999年に30周年、2009年に40周年の記念式典がそれぞれ挙行されました。施設の改修も進められており、1994年には校舎リフレッシュ工事が完了。2019年にはA棟の耐震化と老朽化対策工事、制服デザインの変更が行われました。2020年にはテニスコート・グラウンド、旧食堂棟の改修工事が完了し、2022年には体育館の改修も終えています。2025年度からは二学期制への移行が予定されています。

象徴

本校の校章は、中央に清楚さと純潔を象徴する県花「やまゆり」の白い花を配し、その左右から力強く成長する県の木「いちょう」の葉が支えるデザインです。全体の形状は「生田」の「い」を表現し、左右のいちょうの葉が創立精神である「自由と規律」を表しています。校歌は、日本におけるクラシック音楽普及に貢献した服部正氏が作曲、村野四郎氏が作詞を手がけました。発想標語は「明るくさわやかに」。歌詞には「いちょう」や「自由と規律」といった学校を象徴する言葉が織り込まれています。グリークラブや吹奏楽部による混声四部合唱、吹奏楽への編曲版も存在します。制服は創立時よりスーツタイプを採用しており、これは県内公立高校としては早い導入例の一つです。平成31年度にはデザインが男女共に一新されました。

学校生活

生田高校は、約4万平方メートルに及ぶ広大な敷地を持つことが特徴です。一般的な高校の設備に加えて、多様な生態系を観察できるビオトープを有しており、科学部が管理・研究活動に利用しています。かつて食堂として利用されていた建物は、改修を経て現在は生徒の自習スペースであるスタディーホールとして活用されています。ICT環境も整備されており、原則としてBYOD（自身の端末を持ち込む）形式を取り入れていますが、端末がない生徒には学校が無償で貸し出しを行っています。また、校内のほぼ全てのエリアで生徒用のWi-Fiが利用可能です。

カリキュラムは学習指導要領に基づき編成されており、1年次は共通科目が中心ですが、2年次からは文系・理系に分かれた科目が必修となり、進路に応じた学習が進められます。3年次には多様な選択科目が設けられ、各自の興味や進路希望に合わせたより専門的な学びが可能となっています。

年間を通じて様々な行事が行われます。5月には1・2年生の校外学習、6月には星座別に組織された4つのチーム（火・水・地・風の宮）が競い合う体育祭が開催されます。7月にはクラス対抗の球技大会（クラスマッチ）が行われるほか、かつては百合丘高校との対抗戦である百生戦（ひゃくせいせん）も7月に実施されていましたが、現在は3月に変更され、気温への配慮から中止される年もあります。9月には、クラスによる模擬店や発表、文化部の展示、運動部の招待試合などで盛り上がる文化祭「銀杏祭（ぎんなんさい）」が開催されます。銀杏祭では、来場者投票や校長による「銀杏大賞」「校長賞」が授与されるほか、生徒会執行部が「生田饅頭」を販売するのが恒例です。この銀杏祭の名称にもなっている「いちょう」は、開校当初から校内に植えられており、秋には鮮やかに色づき、学校のシンボルとなっています。その他、10月には修学旅行、11月には芸術鑑賞教室などが実施されます。

著名な出身者

あめくみちこ（女優）
早野宏史（元サッカー選手、サッカー解説者）
竹中美彩（フリーアナウンサー）
藤井剛（声優）
今駒憲二（元ラグビー日本代表）
湯澤奨平（ラグビー選手）
石井智亮（ラグビー選手）
石岡史子（教育者、翻訳家）
松川裕美（タレント、司会者）
神里雄大（作家、舞台演出家）
桜井智野風（スポーツ科学者）
横山将義（経済学者）
杉澤僚（NHKアナウンサー）
カモシダせぶん（お笑い芸人）

※上記は情報提供に基づき記載。最新の情報や網羅性は公式サイト等をご確認ください。

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