神奈川県立音楽堂

神奈川県立音楽堂：東洋一の響きを誇る音楽殿堂

横浜市西区紅葉ケ丘に位置する神奈川県立音楽堂は、1954年、神奈川県立図書館と同時に開館した歴史ある音楽専用ホールです。その設計は、数々の名建築を手掛けた巨匠、前川國男氏。イギリスのロイヤル・フェスティバル・ホールをモデルに、音響効果を追求した設計思想が凝縮されています。

ホールの壁面は、木材をふんだんに使用。この木材の温もりとホールの形状が相まって、独特の響きを生み出しています。開館以来、数々の著名な演奏家がその舞台に立ち、その音響の素晴らしさを絶賛。スビャトスラフ・リヒテル氏やヴラディーミル・アシュケナージ氏といった世界的な音楽家からも「東洋一の響き」と評されるほど、高い評価を得ています。

音響設計においては、東京大学生産技術研究所の渡辺要研究室の石井聖光氏が担当。空席時の残響時間は1.4秒に設計されており、音楽の繊細なニュアンスを余すことなく伝える、理想的な音響環境を実現しています。

ホールの規模は、収容人員1,106名（座席数1,054席、立見席52名）。舞台は間口19.4m、奥行7.4m（張り出し舞台使用時8.6m）、高さ8.8mと、オーケストラやオペラなどの大規模な公演にも対応できる広さを誇ります。

1999年には、近代建築の優れた作品を保存・継承するために設立されたDOCOMOMO JAPAN（ドコモモジャパン）によって、「日本の近代建築20選」に選定されました。これは、建築史における重要な位置づけと、その価値の高さを示すものです。

2018年には、約1年間の休館期間を経て改修工事が行われ、より快適で、そして質の高い音楽体験を提供できる空間へと生まれ変わりました。現在も、クラシック音楽コンサートはもちろんのこと、大学や専門学校の入学式・卒業式、講演会、集会など、多様なイベントに利用され、地域文化の発展に貢献しています。

神奈川県立音楽堂は、単なる音楽ホールにとどまらず、歴史と伝統、そして最新の技術が融合した、まさに「音楽の聖堂」と言える存在です。その素晴らしい音響と洗練された空間は、来場者に忘れられない感動と、音楽の深遠な世界への誘いを与えてくれることでしょう。

施設概要

住所：神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9-2
開館：1954年（昭和29年）11月4日
設計：前川國男
収容人員：1,106人
座席数：1,054席（固定席966席、可動席88席）
立見席：52人
舞台：間口19.4m、奥行7.4m（張り出し舞台使用時8.6m）、高さ8.8m
音響設計：石井聖光（東京大学生産技術研究所 渡辺要研究室）
* 空席時の残響時間：1.4秒

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