神山好市

神山好市：中野区政を担った政治家の功績と課題

神山好市（こうやま こういち）は、1929年1月25日に生まれ、2020年11月24日に没した日本の政治家です。東京都中野区長を4期16年にわたり務め、その間に区政に大きな影響を与えました。本記事では、神山の経歴、区長としての功績、そして彼が残した課題について詳しく解説します。

生涯と経歴

神山は東京都小平市で生まれ、1950年に中野区役所に就職しました。中央大学経済学部を卒業後、中野区教育委員会事務局次長を経て、1983年に中野区助役に就任。1986年4月、青山良道中野区長の死去に伴い、同年6月に行われた中野区長選挙に出馬し、初当選を果たしました。

区長在任中は、青山前区長の下で決定された中野区と中国・北京市西城区との姉妹都市提携を締結。革新勢力の支援を受け、アメリカやイギリスが臨界前核実験を実施した際には抗議文を送付するなど、政治的な姿勢も明確にしました。

2002年の区長選には出馬せず引退。引退後は中野区体育協会理事長などを務め、2003年には勲三等瑞宝章を受章しました。2020年11月24日に91歳で死去し、没後に正五位が追贈されました。

中野区長としての功績

神山が区長として特に力を入れたのは、住民サービスの拡充でした。区内に地域センターを整備し、区役所の出張所機能や会議室機能を持たせることで、地域住民の利便性を高めました。約15平方キロメートルに15カ所もの地域センターを設置し、区の職員を配置するなど、住民が行政サービスを受けやすい体制を整えました。

財政悪化という課題

しかし、積極的な公共投資は、区の財政状況に大きな影響を与えました。中野区財政白書（平成14年版）によると、1992年時点では209億円以上の基金（貯金）があり、区債発行残高（借金）は300億円でしたが、神山が退任した2002年には基金が71億円を切り、区債発行残高は501億円にまで増加しました。住民サービス拡充の裏で、区の財政状況が悪化したことは否定できません。

上野原スポーツ学習施設をめぐる訴訟

神山は区長在任中、上野原スポーツ学習施設（仮）をめぐる訴訟問題にも直面しました。中野区が1994年から1995年にかけて、同施設の用地として約20ヘクタールの土地を10億7888万408円で購入した際、その購入価格が不当に高額であったとして、住民から損害賠償を求める訴訟を起こされました。

一審では訴えが却下されましたが、控訴審で住民監査請求の遅れに正当な理由があるとして、審理が一審に差し戻されました。神山の退任後、2002年12月には中野区教育委員会が同施設の建設計画を断念し、土地は1億3310万円で上野原市に売却されました。住民訴訟は、差し戻し後の一審で和解しています。

著書

神山は、区長在任中に自身の政策や理念をまとめた著書も出版しています。

* 『中野区・福祉都市への挑戦―21世紀にむけての地域型福祉サービス』（1993年1月、あけび書房、共著）ISBN 978-4900423640

まとめ

神山好市は、中野区長として住民サービスを拡充し、区民の生活を向上させるために尽力しました。しかし、積極的な公共投資は区の財政状況を悪化させ、上野原スポーツ学習施設をめぐる訴訟問題も発生するなど、課題も残しました。彼の功績と課題は、今後の地方自治における政策決定において、重要な教訓となるでしょう。

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