神戸外国倶楽部

神戸外国倶楽部：関西における国際交流拠点の歴史

神戸外国倶楽部は、兵庫県神戸市に位置する会員制の社交クラブであり、関西地方在住の外国人コミュニティの交流拠点として100年以上の歴史を誇ります。その起源は1869年5月5日、神戸外国人居留地に居住するアメリカ人やイギリス人を中心に設立されたユニオンクラブ（インターナショナルクラブ）に遡ります。当初はアメリカ人やイギリス人の会員が中心でしたが、後にフランス人やイタリア人などの会員も加わり、国際色豊かな社交クラブとして発展しました。

ユニオンクラブは、居留地内の建物を転々と移転しながら活動を続けました。はじめの拠点は31番地、その後32番地、79番地（オリエンタルホテルの地下）へと移り、活気に満ちた社交の場として発展を遂げました。その後、ドイツ人居留外国人を中心とした社交クラブ、クラブコンコルディアから東遊園地の施設を購入し、「神戸倶楽部」として活動を継続しました。

1890年には、建築家アレクサンダー・ネルソン・ハンセルによってクラブハウスの改築が行われました。改築されたクラブハウスには、ボウリング場やビリヤード場などが備えられ、会員たちの社交活動の幅を広げることに貢献しました。これらのレクリエーション施設は、会員間の親睦を深める上で重要な役割を果たしたと考えられます。

1909年、正式に「神戸外国倶楽部」として法務局に登記されました。この名称は、クラブの国際的な性格と、神戸という国際都市におけるその役割を象徴するものです。1923年の関東大震災を契機に、多くの外国企業が関西へと拠点を移し、神戸外国倶楽部の会員数も大幅に増加しました。震災後の復興期において、神戸外国倶楽部は外国人のコミュニティ形成に大きく貢献したと言えるでしょう。

太平洋戦争の勃発により、クラブハウスは日本海軍に接収され、空襲によって焼失するという大きな被害を受けました。戦争終結後、1950年には施設が再建されましたが、東遊園地にアメリカ領事館が建設されることになったため、トアロードのトアホテル跡地へと移転を余儀なくされました。この新たなクラブハウスには、神戸で初めてとなるスカッシュコートが設置されるなど、時代の変化に合わせて施設の充実が図られました。

現在も神戸外国倶楽部は、関西在住の外国人会員のための社交クラブとして、会員同士の交流や親睦を深める場を提供し続けています。長年にわたる歴史と伝統を継承しながら、国際交流拠点としての役割を担い続けている神戸外国倶楽部は、神戸市の歴史と文化を理解する上で欠かせない存在と言えるでしょう。その存在は、国際都市神戸の多様な文化と歴史を物語る貴重な証となっています。

参考文献

呉宏明（編） 編『こうべ異国文化ものしり事典』神戸新聞総合出版センター、2006年
ジャパン・クロニクル社（編）・土居晴夫（解説） 編、堀博・小出石史郎 訳『神戸外国人居留地』神戸新聞出版センター、1980年

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