神戸市交通局200形電車 (初代)

神戸市交通局200形電車

神戸市交通局200形電車は、かつて神戸市電気局（現：神戸市交通局）が運営していた神戸市電に在籍した路面電車車両です。登場当初はG車、H車と呼ばれていました。特にG車は、日本初の半鋼製電車として登場し、鉄道車両の歴史に名を刻んでいます。

概要

神戸市電は、1910年に神戸電気鉄道として開業し、1917年に神戸市電気局の運営となりました。開業当初から先進的な車両を積極的に導入しており、A車（日本初の空気ブレーキ採用）、C車（初の大型ボギー車）などがその例です。G車は、技師の古林謙三が海外で普及していた鋼製部品に着目し、安全性と経済性向上を目指して導入されました。

G車（201 - 220）

G車は、台車や主要機器に海外メーカーの部品を使用する一方、半鋼製車体は川崎造船所と田中車輌で製造されました。田中車輌にとっては、徳庵駅付近に工場を移転してから初めての製造車両となりました。車体寸法は、木造低床二軸車のD車の設計を踏襲しています。

安全対策として、G車は半鋼製車体と共に救助網装置を初めて採用しました。これは、前面に障害物が接触した場合に、障害物が車輪に巻き込まれるのを防ぐ装置で、以降の神戸市電の新造車に標準装備されました。また、神戸市電独特の車番標記の字体もG車から始まったとされています。

製造当初の車番は176 - 195でしたが、翌年に201 - 220に変更されました。

H車（221 - 240）

G車に続き、1923年に梅鉢鐵工所で製造された半鋼製二軸車です。基本的な構造はG車と同様でしたが、側面の乗降扉が2枚引き戸に変更されました。

運用

G車とH車は、安全性と経済性に優れており、その後の鉄道車両に大きな影響を与えました。ただし、一段下降式窓は雨水の浸入に弱く、腐食しやすい構造であったため、後に二段窓に改造されました。H車の2枚引き戸も、G車と同様の折り戸に変更されています。

製造コストや木造電車の更新計画などの理由から、半鋼製二軸車の増備は300形、400形によって行われることとなりました。

戦災により一部車両が廃車となりましたが、残った車両は戦後の神戸市電を支えました。しかし、大型車両の増備や老朽化により、G車由来の車両は電動貨車に改造された一部を除き、1952年までに廃車されました。H車由来の車両も、1956年と1958年に全車廃車となりました。

廃車となったG車の車体は、建物不足のため幼稚園や保育園に転用されましたが、その後全て解体されました。H車についても保存車はなく、現存車両は1両もありません。

電動貨車への改造

老朽化した散水車を置き換えるため、G車由来の車両のうち3両が1952年に無蓋電動貨車（7 - 9）へ改造されました。車体上半分が撤去され、資材輸送やイベントの花電車として使用されましたが、1964年に廃車となりました。

脚注

注釈

特になし

出典

電気協会関東支部『最新電動客車明細表及型式図集』電気協会関東支部、1930年
小西滋男、宮武浩二『全盛期の神戸市電 (下)』ネコ・パブリッシング、2005年
* 金治勉、福田静二『神戸市電が走った街 今昔 山手と浜手を結ぶ電車定点対比』JTB、2001年

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