神戸市交通局800形電車

神戸市交通局800形電車は、神戸市電で使用されていた路面電車車両です。ここでは、その誕生から終焉までを詳しく解説します。

概要

800形は、700形に続いて1937年に801 - 810号車の10両が神戸市交通局の工場で製造されました。当初は500形の更新として700形を増備する予定でしたが、軍需産業の活発化による利用客増加に対応するため、完全な新車として製造されることになりました。これにより、車体は大型化され、3扉構造となり、車内はロングシートへと変更されました。

中央の扉は、戸袋窓を設けないために4枚折り戸が採用されましたが、ドアエンジンは搭載されず、手動で開閉する必要がありました。

戦災と復旧、そして改造

1945年の神戸大空襲では、804 - 806号車と808号車の計4両が被災し、廃車となりました。しかし、1947年には戦後初の新車として800形が増備されることになり、戦災で廃車となった車両の番号を引き継いだ4両と、811 - 818号車の8両の計12両が製造されました。これらの車両は、東芝網干工場で車体が製造され、廃車車両から流用された床下機器や台車を組み合わせて、神戸市交通局の工場で組み立てられました。

1962年には、802号車と815号車が衝突事故を起こし、大阪車輌工業で復旧工事が行われました。この際、乗降扉の配置が1100形や1150形と同様の左右非対称の2扉車に変更されました。また、815号車（初代）は801号車（2代）に、801号車（初代）は808号車（3代）に、808号車（2代）は815号車（2代）に改番され、801号車と802号車は前中扉車としてまとめられました。さらに、1963年に事故に遭った813号車は、復旧の際に中央の扉が埋められ、1000形と同様の車体となりました。

3扉車として残った車両は、中央の扉が使用停止となり、扉があった部分には板がはめ込まれ、車内座席はそのまま延長されずに2扉車として使用されました。

1968年には、801号車と802号車が大阪車輌工業でワンマンカーに改造されましたが、後に再びツーマンカーとして使用されるようになりました。

廃車と保存

800形の廃車は1969年から始まり、3月23日付で803号車、807号車、809 - 811号車、818号車の6両が廃車となりました。同年11月1日付で804 - 806号車、808号車、812号車、814 - 817号車が、8月1日付で813号車が廃車され、残るは801号車と802号車の元ワンマンカー2両のみとなりました。この2両は、1971年3月13日の神戸市電全廃の日まで使用され、翌日、他の車両とともに廃車されました。

初代801号車であった808号車（3代）は、神戸市交通局により永久保存車に指定され、名谷工場で保存されています。

参考文献
神戸市交通局編『神戸市交通局八十年史』、神戸市交通局、2001年
「神戸市電 車両史」『鉄道ファン』No.122（1971年7月号）、交友社
小山敏夫『全盛期の神戸市電』（上）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.75〉、2005年11月 ISBN 4-7770-5128-5
小西滋男・宮武浩二『全盛期の神戸市電』（下）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.76〉、2005年12月 ISBN 4-7770-5129-3

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