神戸市交通局900形電車

神戸市交通局900形電車は、かつて神戸市電で活躍した路面電車車両です。戦後の輸送力増強のため、800形の増備車として1947年から1949年にかけて46両（901 - 946号車）が製造されました。

当初、製造は局工場で行う予定でしたが、戦災復興の遅れから見送られ、木南車輌などで製造されました。外観は800形とほぼ同じですが、乗降扉が自動化された点が主な違いです。

しかし、時代とともに中扉の使用頻度が減少し、1960年から1962年にかけて922 - 946号車については中扉を撤去し、窓を新設する改造が行われました。同時に、車内の座席も延長され、前後2扉車として運用されました。一方、改造されなかった車両は、特徴的な4枚折り戸がそのまま残されたり、扉があった場所に板をはめ込んだだけで座席は延長されなかったりと、様々な形態が見られました。後に911号車も事故復旧の際に、922 - 946号車と同様の改造を受けています。

900形は800形と同様に、1969年から廃車が始まりました。1970年3月の山手・上沢・須磨の各線廃止時に大半が廃車となり、944号車のみが残り、1971年3月の市電全廃まで活躍しました。全廃後、他の車両とともにその役目を終えました。

現在、945号車の車体のみが自治会施設として再利用されており、往時の姿を偲ぶことができます。

参考文献
神戸市交通局編『神戸市交通局八十年史』、神戸市交通局、2001年
「神戸市電 車両史」『鉄道ファン』No.122（1971年7月号）、交友社
小山敏夫『全盛期の神戸市電』（上）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.75〉、2005年11月 ISBN 4-7770-5128-5
小西滋男・宮武浩二『全盛期の神戸市電』（下）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.76〉、2005年12月 ISBN 4-7770-5129-3

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