神戸市電山手・上沢線

神戸市電山手・上沢線：神戸の街を走った路面電車の歴史

神戸市電山手・上沢線は、かつて神戸市の活気ある街並みを駆け抜けていた路面電車路線です。加納町3丁目停留場から長田停留場を結んでおり、その歴史は昭和45年（1970年）の廃止まで、神戸市民の生活に深く関わっていました。

路線と構成

この路線は、大きく分けて山手線と上沢線の2つの区間から構成されていました。加納町3丁目から大倉山間が山手線、大倉山から長田間が上沢線として運行されていました。また、湊川公園西口停留場付近では湊川線と重複する区間が存在していました。現在の神戸市営地下鉄山手線県庁前駅～長田駅間は、特に下山手4丁目以西において、この路線のルートとほぼ重なっていることが興味深い点です。

開業から廃止まで

山手・上沢線の歴史は、大正10年（1921年）8月25日に加納町3丁目停留場から大倉山停留場間が開業したことに始まります。その後、段階的に路線を延伸し、大正11年（1922年）4月10日には全線5.358kmが開通しました。

開業から廃止までの間には、いくつかの変更がありました。例えば、昭和36年以前には長田4丁目停留場が廃止され、複数の停留場の名称も変更されています。そして、昭和45年（1970年）3月15日、長い歴史に幕を閉じ、加納町3丁目から長田間全線が廃止されました。

停留場一覧と運行系統

昭和37年（1962年）7月時点の停留場一覧と運行系統図が残されています。これらの資料からは、当時の路線の規模や運行状況を詳細に知ることができます。残念ながら、全ての停留場に関する情報が残っているわけではありませんが、いくつかの停留場の存在や、当時運行されていた系統の情報から、当時の活気ある様子を想像することができます。廃止された停留場も含まれていますので、当時の様子を知る上で重要な資料と言えます。

神戸市電山手・上沢線の遺産

現在、山手・上沢線は姿を消していますが、その歴史は神戸市の発展の歴史と深く関わっています。路線跡の一部は、現在の地下鉄路線として生まれ変わり、神戸市民の生活を支えています。また、写真や資料を通して、その歴史を後世に伝える活動も行われています。これらの資料は、当時の神戸市民の生活や交通事情を知る上で貴重な資源であり、過去の記憶を大切に未来へと繋いでいくことの重要性を改めて認識させてくれます。

参考文献

鉄道廃線跡一覧表（兵庫県内） - 神戸・兵庫の郷土史
神戸市電山手上沢線 路線図 - 鉄道歴史地図
昭和37年7月現在の電車運転系統図
昭和41年3月頃の路線図

これらの資料は、山手・上沢線の歴史をより深く理解する上で大変役に立ちます。当時の地図や写真、運行系統図などを参照することで、具体的な運行状況や停留場の位置、周辺の環境などをより鮮明に想像することができます。これらの資料によって、私たちはかつて神戸の街を賑わせていた路面電車の姿を、今なお鮮やかに思い起こすことができるのです。

もう一度検索