神明宮 (岡崎市大高味町)

愛知県岡崎市大高味町に位置する神明宮は、地元の人々から大川神明宮とも呼ばれる神社です。創建は棟札から元禄13年（1703年）頃と推定され、祭神として天照大神を祀っています。本殿は、桁行一間、梁間一間という比較的小規模な切妻造、こけら葺きの神明造で、古式ゆかしい様式を今に伝えています。

神明宮の境内には、社殿と向き合うように農村舞台が建てられています。この舞台は「豊楽座」と称され、「大川神明宮の舞台」として知られています。明治15年（1882年）5月25日に棟梁杉本友吉によって建てられたもので、間口10.9メートル、奥行9.08メートル、高さ10.9メートルの入母屋造という堂々とした建築です。豊楽座は、かつて地域の人々の娯楽の中心地として賑わい、歌舞伎や芝居などが盛んに上演されていました。

しかし、昭和30年（1955年）に歌舞伎や芝居の上演は終了し、舞台は一時静寂に包まれます。その後、平成2年（1990年）に待望の復活公演が行われ、再び人々の注目を集めました。さらに、平成14年（2002年）には文楽が上演されるなど、伝統芸能の舞台としての役割を取り戻しつつあります。

豊楽座はその歴史的・文化的価値が認められ、昭和51年（1976年）11月1日に愛知県の有形民俗文化財に指定されました。これは、舞台が単なる建築物ではなく、地域の歴史や文化を体現する貴重な財産であることを意味します。現在も地域住民によって大切に保存・活用されており、伝統芸能の継承や地域文化の振興に貢献しています。

神明宮と豊楽座は、岡崎市の歴史と文化を語る上で欠かせない存在です。神社の静謐な雰囲気と舞台の華やかさが調和し、訪れる人々に豊かな体験を提供しています。参考文献として『額田町史』（額田町史編集委員会、1986年）が挙げられます。関連する項目としては、神明宮、岡崎市、額田町、形埜村などが挙げられます。

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