神田伯龍

神田 伯龍(かんだ はくりゅう)について



神田伯龍は、講釈師としての名跡であり、そのルーツは東京にありますが、長い歴史の中で大阪でも受け継がれてきました。主に神田派に属し、神田伯龍の名は、その代数が複雑なことでも知られています。正確には「伯龍」と表記されるべきですが、様々な理由から「伯竜」と記載されることもあります。多くの資料が存在するため、代数はそれぞれで異なることがあります。

初代からの系譜


初代神田伯龍(江戸初代)は、神田辺羅坊寿観の弟子として、神田派の創始者となりました。彼の弟子には初代神田伯鶴や初代神田伯山、初代神田伯海が含まれ、彼は1850年頃にこの世を去りました。さらに、江戸二代目神田伯龍(水戸伯龍)や、大阪初代神田伯龍(本名:桜井清三郎)が続きます。大阪初代伯龍は、東京の神田派から名字を引き継いで大阪に渡り活躍しました。

次に、大阪二代目神田伯龍は、元々三代目一龍斎貞山の弟子で、大阪初代伯龍の門下に属した人物です。彼は、後に伯龍の名を受け継ぐに至ります。また、大阪三代目神田伯龍も大阪二代目の弟子であり、「神田小伯龍」名義で知られていましたが、伯龍名の権限を持つ二代目旭堂南陵の承諾を得ることなく神田伯龍を名乗りました。この複雑な系譜は、講談界の歴史を物語ります。

3代目神田 伯龍


3代目の神田伯龍は、本名を松村伝吉といい(1856年 - 1901年)、初代神田伯山の門下で活躍しました。彼は、伯次の後に神田伯治を名乗り、一時大阪の伯龍名を意識することもありました。

5代目と江戸川乱歩の関係


続いて、5代目の神田伯龍の本名は戸塚岩太郎で、1890年に東京で生まれました。彼は1890年6月に3代目神田伯山に入門し、その後、文化庁芸術祭優秀賞を受賞するなど、講談家としてその名を轟かせました。特に、彼は江戸川乱歩の探偵小説『D坂の殺人事件』のキャラクター「明智小五郎」のモデルにされたことでも知られています。乱歩は伯龍の講演を何度も観ており、彼の存在に多くの印象を受けていました。

6代目 神田 伯龍


6代目神田伯龍(1926年 - 2006年)は、本名小村井光三郎であり、長いキャリアの中で数多くの演目を受け継いでいきました。彼は、1956年に神田伯治に改名し、1982年に六代目神田伯龍を襲名しました。晩年は、講談活動に加え様々なパフォーマンスを行い、名声を確立し続けました。

終わりに


このように、神田伯龍という名は多くの講釈師たちによって受け継がれ、変遷してきた存在です。それぞれの代において、彼らは独自のスタイルを持ち、講談の伝統を継承し続けています。講談は日本の伝統芸能の一部であり、神田伯龍の名はその歴史に輝かしい光を放っています。

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