神田和佳

神田 和佳

日本の女性声優、神田 和佳（かんだ わか）は、1962年3月20日に岐阜県多治見市で生まれました。旧芸名には加藤 友子（かとう ゆうこ）があります。

彼女の父親はタイル貿易の事業を営んでいました。神田は高校時代、コーラス部に所属し、部長として活動していました。特にミュージカルへの憧れが強く、卒業後、父親を説得して岐阜県から上京し、東邦音楽短期大学声楽科へと進学します。その頃の夢は、将来ミュージカルの舞台に立つことでした。

しかし、短大での声楽の授業は、イタリアやフランスの歌曲、オペラのアリアといったクラシック中心のカリキュラムであり、神田は次第に自身の求める表現との間に隔たりを感じるようになります。レッスンが進むにつれて失望感は増し、卒業を間近に控えた頃には、同級生たちの多くもクラシック歌曲を歌っており、漠然とした将来への不安を抱いていました。

そんな折、友人から「声優に向いているのではないか」という勧めを受け、それまでほとんど知らなかった声優という職業に興味を持つようになります。声優への道を模索する中で、勝田久の著書『声優への道』に出会い、それを貪るように読みました。さらに、勝田が主宰する「声優基礎教室」に参加したことが、声優になるという明確な決意を固める決定的な契機となりました。その後、東京俳優生活協同組合の養成所12期生として入所します。

声優としてのキャリアは、1982年にニッポン放送が主催した「アマチュア声優コンテスト」でのグランプリ獲得を機に本格的にスタートしました。以降、多岐にわたる分野で活躍することになります。かつては東京俳優生活協同組合やクレイジーボックスといった事務所に所属していました。

人物としては、ソプラノの高い声質が特徴です。出身地の東濃地方の方言を話すこともできます。特技はスキューバーダイビングであり、普通自動車の運転免許も取得しています。

出演作品は、テレビアニメ、OVA、劇場アニメ、ゲーム、吹き替え、特撮と幅広いジャンルに及びます。初期の代表的なアニメ出演作としては、1983年の『機甲創世記モスピーダ』のソルジィ役や、『キャプテン翼』（昭和版）の杉本久美役があります。1984年には『重戦機エルガイム』でイレーネ・イルスを演じ、その後も『小公女セーラ』、『光の伝説』など、多数の人気作品に出演。長期シリーズでは、『名探偵コナン』にて複数の役を演じました。OVAでは『ガルフォース』シリーズなどに参加し、劇場アニメでは『幻魔大戦』や『ウインダリア』などに出演。ゲーム作品や海外ドラマの吹き替え、特撮番組への声の出演など、その活動範囲は非常に広範です。ソプラノのクリアな声と豊かな表現力で、多様なキャラクターに息を吹き込み、多くの視聴者に親しまれました。

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