神田川 (東京都)

神田川について

神田川（かんだがわ）は東京都を流れる一級河川で、全長は約24.6キロメートル、流域面積は105.0平方キロメートルです。この川は東京都三鷹市の井の頭池が源流で、東に流れながら台東区、中央区と墨田区の境界を形成し、最終的には隅田川に合流します。神田川は荒川水系の支流であり、都心を流れる川としては非常に貴重な存在です。その全区間が開渠であることも特筆すべき点です。加えて、フォークグループ「かぐや姫」の楽曲『神田川』の題材になったことでも知られています。

名称の変遷

神田川はかつて「平川」と呼ばれ、飯田橋付近から日本橋を通って日比谷入江に流れていましたが、江戸幕府の工事により現在の流路に変更されました。江戸市中への上水が引かれ始めると、上流区域は「神田上水」、下流区域は「江戸川」と名付けられ、さらに神田山から下流は神田川と呼ばれるようになりました。明治時代に神田上水が廃止されてからは、上流も一貫して「神田川」と呼ばれるようになり、昭和の河川法改正により名称が統一されました。

別称

神田川の中流域、特に早稲田停留所近くから飯田橋駅にかけての約2.1キロメートルの区間はかつて「江戸川」と名付けられていました。しかし、1970年に名称が「神田川」に統一され、この部分に由来する地名はほとんど消失しました。江戸川橋駅や、文京区内の江戸川公園などは一部その名を留めています。

歴史と整備

神田川の源流である平川は、耳鼻咽喉科を持つ大河であったが、1590年に徳川家康が江戸に入ると、江戸城内への飲料水の確保と洪水の対策が重要課題となりました。潮汐の影響を受ける旧・平川の水は飲用に適さず、そのため上水道の整備が必要となり、井の頭池や他の池から真水を引き入れる工事が始まりました。

平川は、江戸城拡張のため、日比谷入江の埋め立てと改修を通じて、流路が付け替えられました。その後、第二代将軍徳川秀忠の支持で行われた工事により、神田山を切り通す形で流路が整備されました。この区間は特に「仙台堀」とも呼ばれ、舟運が発展しました。こうした整備は、洪水の被害を軽減する役割も果たしました。

明治時代には物流の水運が活発化し、それに伴って多くの河岸が設置されました。1883年には浜町川が延伸し、神田川との接続が図られました。戦後、経済成長が進む中、神田川の水質は一時期悪化しましたが、近年は下水道網や処理施設の整備により改善が進んでいます。

治水対策

神田川では長年、洪水対策が課題とされてきました。流域の都市化が進む現在でも、近年は洪水の危険をはらんでおり、過去には記録的な豪雨による被害も確認されています。1986年には治水対策が全国の河川の中で重要視され、以後も分水路や貯水池の整備が続けられています。さらに、最近の豪雨においては新たに建設された調節池が洪水を防ぐ役割を果たしました。

流域自治体と支流

神田川の流域には東京都内の三鷹市、杉並区、中野区、新宿区、豊島区、文京区、千代田区、台東区、中央区などが含まれています。主な支流には善福寺川、妙正寺川、江古田川、和泉川、桃園川などがあり、いくつかは現在暗渠となっています。

このように、神田川は東京都の歴史と文化に深く根ざした河川であり、時代の変化とともにその姿を変えてきました。現在では地域住民に親しまれる存在となり、多くの行事やレクリエーションの舞台としても重要な役割を果たしています。

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