神社明細帳

神社明細帳は、明治時代に内務省および各府県が管理していた神社の公式台帳です。1879年（明治12年）に内務省から各府県に対し、神社と寺院の明細帳作成が指示され、副本を内務省に送付することが義務付けられました。これにより、社寺取扱規則に合致する神社が、届出または職権によって神社明細帳に登録されることとなりました。

神社明細帳の作成は、1872年（明治5年）の神祇省による神社調査が起源です。翌年には調査結果をもとに社格が決定され、1879年（明治12年）には内務省が統一様式で神社明細帳を調製させました。さらに1913年（大正2年）には省令で様式が定められ、新旧2つの様式が存在することになりました。この台帳に登録されることで、神社は行政の対象となり、地方長官が2通作成し、1通を内務大臣に提出する必要がありました。記載事項は常に事実と一致させ、変更があった場合は速やかに修正することが求められました。

神社明細帳の記載事項に変更が生じた場合、神社は地方長官に届け出て、その内容に応じて地方長官の判断、または内務大臣の承認を経て変更が行われました。その結果は、内務大臣に報告されました。また、明治初期には届出の誤りや漏れがあったため、後から神社を明細帳に編入する際には、慎重な審査が行われました。この台帳は、宗教法人神社本庁が設立される前日の1946年（昭和21年）2月2日まで、内務省が管理し、その後は文部省が保管することになりました。

神社明細帳には主に3つの種類がありました。官国幣社明細帳、府県社以下神社明細帳、そして招魂社明細帳です。

1. 官国幣社明細帳: 官国幣社の所在地、社格、社名、祭神、由緒、例祭日、社殿の構造、造営の歴史、境内面積、氏子数、境内外の摂末社、境内招魂社、遥拝所などが詳細に記載されました。
2. 府県社以下神社明細帳: 官国幣社明細帳とほぼ同様の情報が記載され、所在地、社格、社名、祭神、由緒、社殿、境内、氏子または崇敬者名簿、境内神社などが記録されました。
3. 招魂社明細帳: 祭神名が多いため、専用の記載欄が設けられ、神名、旧藩名、族籍身分、合祀年月日、官私祭区別、戦死事故など、祭神に関する詳細な情報に加え、鎮座地、官私祭の別、由緒、社殿、境内坪数などが記録されました。

これらの明細帳に類似するものとして、遙拝所明細帳や官修墳墓明細帳も存在しました。

参考文献
大霞会編『内務省史 第2巻』原書房、1971年。

関連項目
台帳
* 国家神道

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