神谷尚

神谷 尚（かみや たかし）

生涯と業績

神谷尚は1944年7月10日に生まれ、1992年10月16日に亡くなった日本の政治家である。埼玉県北葛飾郡庄和町の町長として、住民参加型の行政を強く推進した。彼は茨城県の猿島郡五霞町に出生し、早稲田大学の政治経済学部を卒業後、埼玉県庁の職員としてキャリアをスタートさせた。

町長選挙に初出馬したのは1983年のことで、その際は「地盤・看板・鞄」といった政治基盤が整っていない状態からの挑戦であった。それにもかかわらず、当時の現職町長を破り、見事当選を果たした。彼は町民の参加を重視し、「住民総参加行政」や「全町公園化構想」を掲げた。

神谷は町の行政を開かれたものとし、土曜・日曜の住民課窓口開設など、一般の町民が参加しやすい仕組みを作った。さらには、住民自らが汗を流し、行政に関わる姿勢を養うことを目指した。3回当選を重ね、次第にその政策は注目を集めるようになった。

学校給食の見直し

1990年には町の基本計画を策定し、その中で給食の選択制導入や「ふれあい弁当の日」の設立を提案した。1992年1月、町役場の新庁舎が完成したのを機に、学校給食に関する50項目の見直しを行い、同年1993年度からの給食の選択制導入を検討し始めた。給食センターの老朽化や食べ残しの問題が主な課題として取り上げられ、これらを解決するための財政的な見直しが求められた。

戦後の食糧難時代に始まった学校給食制度は、その必要性が薄れつつあると考えた神谷は、工程見直しを進め、給食廃止の論争の渦中に身を置くこととなった。しかし、この選択は保護者や地域住民から反発を呼び、全国的な注目を浴びることになる。

住民の反応や町議会での議論裂ける中、神谷は様々な対話の場を設け、住民へのアンケート調査を行う計画を発表した。しかし、彼自身が体調不良を訴え、入院する結果となり、議論は進行する中で町長不在の状態が続いてしまった。

脳梗塞による死去とその後

その後、1992年10月16日に脳梗塞により在職中に他界。彼の死去は地域に衝撃を与え、町議会は既に給食の存続を求める意見書を採択していたため、この問題は複雑化した。神谷の理念とは裏腹に、町の教育委員会は彼の死後約1ヶ月で給食廃止の検討を断念し、給食が存続する方向に舵を切った。

著作

神谷はまた、著書も持っており、主にまちづくりや政治に関する内容がテーマである。1986年に出版された『夢追い町長実践記－まちづくりは最高のドラマ』の他、続編もあり、彼の政治理念や行政への情熱が垣間見れる。

彼の政治人生は、住民とともにある行政を目指した結果、功罪両面を持つ複雑なものとなったが、その姿勢は後の町づくりに大きな影響を与えている。

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