禊教

禊教（みそぎきょう）

禊教は、井上正鐵の教えに基づく神道の流派であり、文部科学大臣の所轄に属する宗教法人です。井上正鐵は1790年に生まれ、独自の修行を経て神道の教義を確立しました。正鐵は、禅僧や観相学者からの学びも大きく影響しており、彼の教えは現在も多くの信者によって受け継がれています。

創始者の経歴

井上正鐵は、館林藩士の家に生まれ、若い頃から禅や医学を学びました。特に1834年には伯家神道に入門し、その知識を深めました。彼は多くの顔相や心身の調和についても研究し、神道の奥義を探求しました。正鐵は、神道を世に広めることを父の遺言として受け継ぎました。

布教と教義の形成

1840年、正鐵は梅田神明宮で神職として活動を開始し、ここで彼の教えが広がりました。しかし、1841年には新義異流としての疑いが持たれ、投獄される事件が発生します。これを機に正鐵は『神道唯一問答書』を著し、僧侶や信者に対して自己の教えを伝えました。

教育活動の過程で、彼は多くの門弟を持ちました。中には後に伊勢神宮の大宮司となる者もいるほどです。正鐵は教えを広げるために、三宅島に流罪となるも、その地で教えを続けました。1849年に亡くなるまで、彼は教徒の指導を続けました。

教団の分裂と発展

正鐵の死後、彼の弟子たちは布教活動を続けましたが、内部には教義に関する意見の対立が生じ、教団は二つに分かれることになります。明治維新後、1872年に正鐵の弟子たちによって「吐菩加美講」が公認され、その後、名称を変更して布教を続けます。

また、坂田鉄安が1879年に井上神社を創設し、神道の講社が立ち上がりましたが、その後も教派の分裂は続いていきます。1882年には坂田鉄安が「神道禊派」を結成し、教団が再編成されました。

戦後の復興

戦後、禊教は文部科学大臣所轄の宗教法人として認定され、本部を上野の井上神社に置くことになりました。しかし、1974年に井上神社が焼失すると、教団内での混乱が生じ、坂田安儀を中心とした派閥と坂田安弘を中心とした派閥に分かれました。それぞれの派閥は独自に活動を開始し、一部の教会は独立した法人を設立しました。

現在では、宗教法人禊教と神道禊教が存在し、それぞれ信者数は減少していますが、教団の活動は続いています。信者数は近年の調査によれば、宗教法人禊教は約9万人、神道禊教は約2万人に達しており、かつての活況からはかけ離れた状況です。

祭神と教義

禊教では、天照太神や井上正鐵を祭神とし、多神教的な色合いを持つ教義が特徴です。教義は、心身の潔さや祓いの重要性を強調し、信者に対して精神的な教えを提供しています。信者たちは祭りや儀式を通じて神々との結びつきを強め、教義を日常生活に取り入れています。

このように、禊教は独自の歴史と教内容を持った神道の一派として、信者たちの心の支えとなって続いています。

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