福井康雄

福井 康雄 (ふくい やすお)

福井康雄は1951年9月29日生まれの日本の電波天文学者で、名古屋大学大学院の教授として活躍しています。大阪府大阪市に生まれ、高校から大学に至るまでの教育を経て、天文学の専門研究に邁進してきました。

略歴

福井氏は1970年に大阪府立天王寺高等学校を卒業後、東京大学理科I類に進学します。1972年には同大学の理学部天文学科に進み、1974年に卒業。その後、東京大学大学院の理学系研究科天文学専攻に進学し、1979年に理学博士の学位を取得しました。

1974年から1980年にかけては、日本学術振興会の奨励研究員として活動し、その後名古屋大学の理学部に助手として採用されます。1984年にはフンボルトフェローとしてケルン大学に留学し、1987年には名古屋大学理学部の助教授に昇進、その後、1993年に教授に就任します。1996年には名古屋大学大学院の教授として、大学院重視の方針の下で研究を続けています。さらに、2001年から2004年まで名古屋大学の総長補佐を務め、2003年から2008年まで「宇宙と物質の起源」に関するCOEプログラムの拠点リーダーとして活動しました。また、2006年からは名古屋大学大学院の南半球宇宙観測研究センターの所長としても活躍しています。

受賞歴

福井氏は多くの賞を受賞しており、1987年にインド天文学会から第1回バイヌバップ賞を受賞、1991年には井上科学振興財団から第7回井上学術賞を授与されました。さらに、1995年には日産科学振興財団から第2回日産科学賞を受賞し、1998年には国際天文連合から小惑星第7890番に「Yasuofukui」と命名される栄誉を受けます。2001年には中日文化賞を、2002年には日本天文学会から欧文研究報告論文賞を受賞し、2003年には林忠四郎賞を受賞しました。最後に、2007年には紫綬褒章を受章するなど、多方面での功績が評価されています。

業績

福井氏の業績は特に高感度小型電波望遠鏡の開発にあり、星間分子雲に関する広範な観測的研究によって顕著な成果を上げています。その中でも、南米チリに設置した望遠鏡「なんてん」による南天の先駆的研究が特に知られています。

彼の主な研究成果には以下のようなものがあります：

• - 形成途上の原始星に関連する双極分子流の多数発見及び原始太陽系における分子流の存在の証明。
• - 原始星段階のガス塊を多く発見し、星形成の初期段階の解明。
• - 南天の銀河「マゼラン雲」の全面観測による、巨大分子雲の全貌の明らかに。
• - 銀河系の中心部に分子雲ループを発見し、その磁気浮上による関連性を示した。

著書

福井氏は多くの著書を執筆しており、主な単著には「大宇宙の誕生」、「大宇宙の素顔」、「大宇宙の誕生 -『銀河のたまご』からブラックホールの新しい顔まで」があります。また、共著として「高エネルギー宇宙物理学」や「天文学への招待」があり、編著では「私たちは暗黒宇宙から生まれた」や「星間物質と星形成」などがあります。

福井康雄氏は、電波天文学の分野での功績を通じて、宇宙への理解を深めるべく尽力し続けている研究者です。

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