福光大火

福光大火

福光大火（ふくみつたいか）は、1979年（昭和54年）4月11日に、現在の富山県南砺市にあたる当時の西礪波郡福光町で発生した大規模な火災です。この火災は、福光町において明治期以降で最も広範囲に及ぶものとなりました。

概要

火災は1979年4月11日の午後3時47分頃、福光町内の番地547-1にあった瀬川製材所の2階付近から出火しました。火はまたたく間に工場全体を全焼させた後、近隣の工場施設、とりわけ日本抵抗器福光工場などにも燃え広がりました。さらに、小矢部川沿いに密集して建ち並んでいた木造家屋にも延焼範囲が拡大し、大きな被害をもたらしました。出火元周辺は木造建築が密集していたため、火の回りが非常に早かったことが被害を拡大させた一因です。

火災発生当日は、気象条件が非常に悪化していました。南西からは医王山から吹き下ろす「医王山おろし」と呼ばれる秒速8メートルから最大15メートルにも達する非常に強い風が吹き荒れており、湿度はわずか35パーセントという極端な乾燥状態でした。春先にしばしば発生するフェーン現象のような状況が、火災の勢いを強め、延焼を助長しました。富山地方気象台は当日午前5時20分頃に異常乾燥注意報および火災気象通報を発令しており、これを受けて福光町も午前9時には火災警報を出して注意を呼びかけていましたが、火災の発生を防ぐことはできませんでした。

消火活動と鎮火

火災の最初の119番通報は午後3時54分頃に受理されました。福光町消防署の隊員がただちに現場へ急行し、午後3時56分頃には近くの水利部署に到着して消火活動を開始しました。しかし火勢が強く、福光町消防本部だけでなく、東礪波郡、西礪波郡、富山市、高岡市、射水郡、新湊市、氷見市、小矢部市、福岡町など、富山県内の広い範囲から多数の消防車両が応援に駆けつけ、懸命な消火活動にあたりました。火の勢いは午後7時30分にようやく鎮圧され、午後8時過ぎには火災が下火となり、最終的に午後9時5分に鎮火に至りました。延焼区域の住民は、火災現場から風向きを考慮して約400メートル風上にある福光中部小学校へ避難しました。

行政の対応と被害

この大規模火災の被害を受けて、富山県は同日午後10時30分に災害救助法の適用を決定しました。福光町も、被災者のために避難所や救護所を開設し、災害救助対策費として450万円の支出を決定するなど、迅速な対応を取りました。翌4月12日には、福光町長が富山県に対し、自衛隊の派遣を正式に要請しました。

この火災による被害は以下の通りです。

• - 負傷者: 41人（いずれも軽傷にとどまりました）
• - 焼損件数:

- 全焼: 42世帯
- 半焼: 15世帯
- 合計: 57世帯
- 建物の全半焼棟数: 116棟

• - 焼損面積: 14,214平方メートル
• - 被害額: 約12億910万円
• - 罹災世帯・人数: 57世帯、242人

復興への取り組み

火災後の復興事業も進められました。被災した区域では、その後の都市計画を見据えた区画整理が行われることとなり、1979年9月20日にはその着手に向けた修祓式が執り行われました。

福光大火は、気象条件が悪化した際の木造密集地帯における火災の恐ろしさを改めて示す事例となりました。

関連項目

• - 火災の年表

もう一度検索