福岡正夫

福岡 正夫: 日本の経済学者

福岡正夫（ふくおか まさお、1924年7月7日 - 2023年7月20日）は、日本の経済学界において著名な業績を持つ学者です。長年にわたり大学で教鞭を執ったほか、研究活動にも力を注ぎました。彼は慶應義塾大学名誉教授や宇都宮共和大学名誉教授として広く知られています。

経歴

福岡は1924年に東京都で生まれました。教育の基盤を築くため、第一東京市立中学校を卒業した後、1947年に慶應義塾大学経済学部を卒業しました。大学卒業後は慶應義塾大学経済学部の助手としてキャリアをスタートし、1952年には助教授、1960年には教授へと昇進しました。1953年から1955年にはアメリカのハーバード大学で、1966年から1968年にはイギリスのケンブリッジ大学で在外研究を行いました。1990年には慶應義塾大学を定年退職し、名誉教授の称号を授与されました。

その後、福岡は創価大学や関東学園大学、そして宇都宮共和大学（旧那須大学）でも教授を務め、経済学の普及に努めました。また、1977年から1979年には理論・計量経済学会の会長を務め、学界におけるリーダーシップを発揮しました。彼は教育者としても熱心に活動し、福島大学、新潟大学、東京大学、北海道大学、東北大学、大阪大学、早稲田大学、琉球大学、九州大学といった名門大学でも非常勤講師を務めたことがあります。

また、1975年から数年に渡り大蔵省（現・財務省）の経済理論研修プログラムで講師を務め、1980年から数年にわたって日本銀行の経済理論研修でも同様の役割を果たしました。教育と研究の両面において、福岡の影響は計り知れないものがあります。

研究活動と著作

福岡は経済学の研究だけでなく、他分野にも多岐に渡る関心を寄せました。特に蝶の研究や収集活動、さらにはクラシック音楽やウィーン世紀末芸術に関する執筆や講演を行い、幅広い知識を持つ学者としての顔も持っています。

彼の著作は多岐にわたり、1966年に出版された『経済原論 ミクロ分析 基礎講座シリーズ』から始まり、1999年の『歴史のなかの経済学 一つの評伝集』まで、様々なテーマを扱ってきました。その他にも、経済学の基本的な考え方を解説した『経済学の考え方』（1978）や、一般均衡理論をテーマにした『一般均衡理論』（1979）など、彼の執筆活動は経済学界において多大な影響を与えました。

福岡はまた、経済学に関する重要な文献を翻訳することにも貢献し、アメリカやイギリスの著名な経済学者たちの著作を日本語にすることで、国内の経済学の理解を深める役割を果たしました。例えば、ポール・サムエルソンの『経済学と現代』や、ロバート・M・ソローの『資本理論と経済成長』など、多くの翻訳が知られています。

晩年と逝去

福岡の経済学の教えを受けた学生たち、すなわち福岡ゼミの卒業生たちは、2023年の7月にOB・OG会を開催しましたが、残念ながらこの年、福岡はその会に出席することができませんでした。彼はその2週間後、99歳でこの世を去りました。教育者、研究者、作家としての多彩な活動は、今後も多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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