福岡野球

福岡野球株式会社の歴史

福岡野球株式会社は、1972年から1978年にかけて日本のプロ野球球団である西鉄ライオンズを運営していた会社です。元々、西鉄の子会社であった西鉄野球株式会社が運営していた球団は、黒い霧事件の影響を受け、深刻な経営危機を迎えます。西鉄は1972年春に球団経営からの撤退を決定し、その後中村長芳が西鉄ライオンズを引き受けることになるのです。

経営の引き継ぎと困難な状況

中村は、西鉄ライオンズの運営会社を買収した後、新しい社名として福岡野球株式会社を掲げます。当初、スポンサーとして太平洋クラブと契約を結び、チーム名を「太平洋クラブライオンズ」としました。しかし、この期間の間にスポンサーからの資金援助は滞り、球団経営は厳しい状況に陥ります。加えて、平和台球場の使用料金の大幅値上げや、弁当販売業者とのトラブルも経営をさらに困難にしました。

球団役員と経営体制

1973年には、球団の役員に中村長芳が代表取締役会長として名を連ね、坂井保之が社長に就任します。この年のファンブックには、球団の経営に関わるさまざまな役員の名前が掲載されており、彼らの協力によってチーム運営が成り立っていました。しかし、スポンサー料の未払いが続く中、経営改善には至りませんでした。

球団経営の厳しい現実

球団の運営の困難さは様々なエピソードから浮き彫りになります。例えば、主催試合に使用される練習用ボールが他球団のものであることや、選手たちが夜食を自費で賄わなければならなかったことは、経営の厳しさを物語っています。また、観客動員を増やすためにロッテとの遺恨試合を演出するなど、あの手この手の策を講じました。

福岡撤退と新たな時代

1977年には、球団再建のために法政大学の江川卓を1位指名しますが、彼の入団拒否が重なり、厳しい状況から抜け出せないまま1978年を迎えます。同年、負債が10億円に達し、西武グループへの球団譲渡が決まり、本拠地を埼玉県所沢市に移転します。そして、「西武ライオンズ」という名称に改称されることになります。

新たな始まり

福岡野球の代表や社長を務めていた坂井は、球団の売却が福岡市との関係に影響を与えたことを振り返ります。球団が移転して以降、地元の市民運動を通じて福岡に新しいプロ野球団の誘致が試みられました。1989年には福岡ダイエーホークスが誕生し、今日まで続くプロ野球チームの基盤が築かれる結果となりました。

このように、福岡野球株式会社の運営した6年間は、様々な困難に直面しながらも多くのエピソードを生み出し、後のプロ野球に影響を与える出来事となったのです。

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