福島県立大野病院

福島県立大野病院は、福島県双葉郡大熊町に所在する医療施設です。地域医療の拠点として、1951年（昭和26年）にその歴史が始まりました。開設当初は内科、外科、産婦人科の3つの診療科と30床の病床を有していました。病院の運営については、福島県の条例や規程に基づいて行われています。

開院後、施設は時代に合わせて改修が進められました。1972年（昭和47年）6月には病院の庁舎が改築され、新たな場所に移転しています。さらに2002年（平成14年）10月には新病院の建設が完了し、2003年（平成15年）1月から新しい施設での診療が始まりました。新病院は鉄骨・鉄骨鉄筋コンクリート造りの4階建てで、手術棟は鉄筋コンクリート造りの3階建てという規模でした。

しかし、2011年（平成23年）3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故は、病院の運営に決定的な影響を与えました。原発事故による避難指示区域に含まれたため、病院は休診を余儀なくされました。

実は震災に先立つ2010年（平成22年）7月、福島県と福島県厚生農業協同組合連合会（JA福島厚生連）は、大野病院と双葉厚生病院を統合することで合意に至っていました。計画では、2011年4月にはJA福島厚生連が病院の運営を引き継ぐ予定でしたが、原発事故の発生により、この統合計画は現在まで延期されたままとなっています。

地域住民の医療ニーズに対応するため、震災後の2016年（平成28年）2月1日には、双葉郡楢葉町に福島県立大野病院附属ふたば復興診療所が「ふたばリカーレ」の愛称で開所されました。この診療所は、内科と整形外科を中心に診療を行っています。

病院敷地を含む大熊町の一部地域は、長らく避難指示が出されていましたが、2020年（令和2年）3月5日には避難指示が解除され、立ち入りが可能となりました。これを受け、2020年および2021年には福島県病院局による現地調査が実施されました。調査の結果、建物の主要構造部分には耐震上の大きな問題がないことが確認された一方で、電気系統や機械設備、水道管を含む配管設備などが長期にわたる休止や環境変化により使用困難な状態にある可能性が高いことが明らかになりました。

現在も大野病院の休診は続いていますが、福島県は被災地域の医療体制再構築に向けた動きを進めています。2022年（令和4年）5月27日には、県議会において、大野病院の機能を担う後継となる医療機関のあり方について協議するための検討会議を設置する方針が示されました。

震災前の福島県立大野病院では、内科、呼吸器科、外科、整形外科、眼科、泌尿器科、小児科、産婦人科といった幅広い診療科を有し、地域の多様な疾患に対応していました。また、医療機関として、保険医療機関や救急告示医療機関、労災保険指定医療機関、指定自立支援医療機関（更生医療・育成医療）など、多くの公的な指定を受けており、地域の中核的な医療機関としての役割を果たしていました。

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